責任の行方-後編(1歩いっぽ44.5)
2015, 02. 10 (Tue) 11:55
敦賀さんお誕生日おめでとう!
2015/2/10
■責任の行方-後編(1歩いっぽ44.5)
濃い目のアイスティーオーレが疲れた身体に浸みわたるようだ。
3分の1ほど一気に飲んで、ソファーに身体をあずけた。
最近奏江に教えてもらった少しリッチな雰囲気のカラオケ店は、ソファーやテーブルも良いものを置いていて、食事もその辺のカフェに負けていない。
歌うというより、個室で気兼ねなく話すために芸能人もよく利用するのだと奏江が教えてくれた。
「いい買い物できてよかったですね」
千織がティーソーダを飲みながら楽しそうに笑った。
「あの紺色のセットも買えばよかったんですよ」
「あ、あれはパンツのサイド紐だったじゃないっ!破廉恥よ!」
「破廉恥な事するために買ったくせに~」
ぐっ、とキョーコは言葉に詰まる。
初めての夜の準備をどうすべきかラブミー部の仲間2人に泣きついたのは自分なのだ。
「あれ…よりやっぱり寄せてあげる感じの買えばよかったかも」
「アンタ贅肉ついてないから寄せるモノなんてないわよ。だいたい脱いじゃうのにブラジャーで胸盛り上げてどうすんのよ」
「私的にはもうちょっと大胆でもよかったと思いますけどね。あの赤いエログロのとか」
「あれは大胆すぎて敦賀さんの心臓止まるわよ」
っていうか、と奏江がキョーコを睨みつけた。
「アンタ店で奇声上げ過ぎ!これからもあんな感じだったらもう買い物付き合わないからね!」
「そんな~モー子さぁん~。だって2人でパジャマは前開きの方が脱がしやすくっていいとか破廉恥な事言うから~」
「イチイチ想像するからでしょ!アンタの頭の中の方がよっぽど破廉恥よ!」
2人のやりとりに千織が声をあげて笑った。
「なんかー。女子会って感じですね。ラブミー部なのに」
「…ま、確かにそうね。高校生みたいだけど」
「これも敦賀さんがキョーコさんに準備期間を与えてくれたからですね。」
「確かにね。あ、キョーコ。ボディクリームちゃんと毎日塗ってるでしょうね?」
「風呂上りすぐに塗らなきゃだめですよ」
2人の言葉にストローを加えたままで頷いた。
2人に話すのは勇気がいったが、ティーン向け初めて特集の雑誌を手に入れてくれたり、身体のお手入れ方法のアドバイスをくれたり、こうやって下着の買い物に付き合ってくれたり、恥かしくも楽しい時間を持つことが出来た。10代前半の頃女友達に恵まれなかったキョーコにとってはすごく素敵な体験だった。
きっとあの聡く優しい恋人はこういうことも想定済なのだろう。
交際後初めて訪れた蓮のマンションでガチガチに固まるキョーコに「最初位は慌ただしくない時に」そう言って告げられたXデー。
その夜を想像すると恥ずかしくてのた打ち回ってしまいそうだけど、逆にまだベットまではいかないと思うと少しスキンシップが進んでも肩の力を抜くことができた。
そうしているうちに気付くようになった。時々蓮の手がすごく熱いことに。
キョーコにこの素敵な時間をくれる為に、きっと相当我慢しているのだ。
2年間も散々我慢させてきたというのに。
「私が敦賀さんにしてあげられることってなんだろう…」
ポロリと零れた言葉はしっかり親友達の耳に届いていて
「え?ベットの上でのことですか?はじめてなのに頑張りすぎたら、それこそ敦賀さんの心臓止まりますよ」
「ちがっちがうから!」
「分かってるわよ。敦賀さんが自分を大事にしてくれることに対してってことでしょう。別にすぐに返さなくてもいいじゃない。時間はこれから沢山あるんだから。まず最初は敦賀さんの想いを穿った見方をしないでちゃんと受け止めていくことだと思うけど?胸だってアンタ的には小さかろうがアンタのがいいって言ってるわけだし?」
「…うん」
頷くと、奏江が鞄から小さな紙袋を無造作に取り出してキョーコの前に置いた
「はい。これは私達2人から」
中から出てきたのは小さなネイル
「爪の先まで綺麗になって行きなさいよ」
「お守り代わりですよ~」
胸いっぱいと言うように小瓶を両手で包んで頷くキョーコは、女友達の眼から見ても抱きしめたいほどに愛らしかった。
「…よく我慢しましたね。敦賀さん」
「そうね…悟りか何か開いたのかもね」
楽しい女子会の翌日からは怒涛のような忙しさだった。
試写会、雑誌の取材、あちこちの番組に出ては映画の告知を行い、公開初日には舞台挨拶の為福岡、大阪、京都、東京を一日で回った。
2人一緒の時もあるけれど、1人だったり、監督や他の共演者と一緒だったり…バタバタと時間に追われる日々が過ぎて…
迎えた夜。
キュッ
シャワーの栓を閉じる音が響く。
もう充分にボディソープは流したというのに、蓮は浴室を出るべきかどうか迷っていた。
(もうちょっと…入っていた方がいいかな)
夕食の時からキョーコは壊れたロボットのようだった。会話も上の空だったし、きっと何を食べているかも分かっていなかったのに違いない。皿を片付けようとする手付きも危なっかしいので、言ったのだ。
「片付け、俺がするから。シャワー浴びてきたら」
その途端、キョーコの顔は赤くなり、次に青くなって…空気中の酸素濃度が一気に3分の1に減りました、と言った感じでハフハフと息をした。
こんな状態でキスなんぞかましたら救急車を呼ばなければならない事態になるだろう。
「俺も片付いたらシャワー浴びるから…寝室で待ってて」
すこし落ち着くための時間をと思ったのだが、最終通告に聞こえたのかもしれない。再び真っ赤に染まったキョーコは飛び上がり、なぜだか敬礼をすると浴室に走り去っていった。
(落ち着くための時間いるよな…俺の為にも…)
そう蓮は分かっている。
何より落ち着いていないのは己自身だ。
今朝は早くから仕事だったのに、その出発前に何度ベットの確認をしただろう。
食事中だってキョーコがサラダを口に運ぶ仕草だけでもうどうにかなってしまいそうな気分になっていたのに。
「お風呂空きました」と、キッチンの入り口から顔をのぞかせたキョーコのシャンプーの匂いを嗅ぎ分けクラクラしていたというのに。
(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け…)
念仏のように唱えた後、最後の仕上げに冷水のシャワーを被り浴室を出て、鏡に映るがっついた男の顔に苦笑する。あまり刺激のない恰好にするためTシャツとパジャマのズボンの姿になった後暫く考えて…コンタクトを外した。
いつも歩いている廊下を裸足で歩くペタペタという足音が妙に耳に入る。
小さな音と共に寝室の扉が開けると、照明を極力まで控えめにした薄暗い中でキョーコの姿が見え、その華奢な身体が寝室の入り口から見ても分かる位に震えているのが分かって、思わず蓮は言った。
「…今夜はやめておこうか?」
その言葉にキョーコは横に大きく頭を振った。
「でも無理まで「無理してます!!!」」
震えてはいるけれど、養成所仕込みの大きな声
「初めてだから恥ずかしいし、怖いし、もう限界Max、いえそれを通り越すほど無理をしています!!!」
「なら「それでも!!!」」
「どんなにしたって初めては恥ずかしくて怖いだろうから…初めては敦賀さんがいいんです!敦賀さんじゃなきゃ嫌なんです!!」
そう宣言するキョーコの顔は青いを通り越して土気色、姿勢正しく正座する姿は初めての夜に恥らう乙女どころか切腹前の武士のようだ。
決死の表情だって、色気とか可憐さとかそんなものは欠片もないのに…
その決意が嬉しくて
その表情さえも可愛くて
その震える身体が愛おしくて
何より、そんな姿の彼女にさえも興奮する自分って…
相当にイカれている
責任とる気満々なんだろう?と敏腕マネージャーは聞いてきた。
責任?それはむしろ…
足早にベットに近づいた蓮はキョーコを抱き寄せながら言った。
「責任とってね。」
「へ?」
何のことか分からない、と言った様子のキョーコをぎゅうぎゅうに抱きしめながら言葉を続ける
「こんなに可愛くって、一生懸命で、優しくて、強くてでも守ってあげたくて、奇想天外時々怪奇な子と付き合ったら、もう別の女性なんかとは付き合えない」
「最後のほう…けなしてませんか?」
「ほんの少し上目遣いで見つめられるだけ、シャンプーの香りが微かにするだけ、土気色の顔だって興奮するような性癖にもされちゃったし、きっと今夜抱いたりしたら、もう余所では男として役に立たない」
なんですか、性癖って!と腕の中でキョーコが猛烈に抗議する。
「きっと…もう君だけだ」
抗議をやめてキョーコは思い出した。
蓮の想いをちゃんと受け止めてあげることだと、奏江にアドバイスをもらったことを。
「だから責任とって」
いつもより早く打つ蓮の心臓の音に今更ながら気付く。
そしていつも以上にきちんと整えられたベット。
百戦錬磨に見える蓮も緊張しているのだろうか?
もぞり、と少し身を離したキョーコが蓮を見つめて、頬に手を伸ばした
「目…コンタクト取ったんですね」
「…ああ。ハワイで言ってくれただろ。久遠・ヒズリも敦賀蓮も俺だって。だから最初の夜はこの姿が相応しいかなと思ったんだ。」
敦賀蓮の黒髪と、久遠・ヒズリの碧の瞳。
情欲に燃え、でも少し揺らいでいるその瞳。
これから起こることを望み、期待し、そしてどこか不安なのだろうか。ちゃんと自分を受け入れてもらえるかと。
キョーコと同じように。
そう思ったらいつの間にか震えが治まってきた。
互いに愛し大切に想ってくれる人。
その人がキョーコを欲してくれている。キョーコだけが欲しいと望んでいる。
喜びが溢れてきて、自然と顔が綻んだ。
その想いが嬉しいのだと、受け止めたいのだと伝えようとして…
「どーんと来いです」
うん、と小さく頷いて、また1歩関係を進めるべく蓮はキョーコの身体をベットに横たえた。
(おしまい)
この後は皆様の脳内で!
敦賀さん来年の誕生日には想いを告げれているのでしょうか?
がんばれー。幸せを祈ってるよ!!!
木曜日には「強く欲するモノ(1)」を通常公開します。今週は割と働き者です。
2015/2/10
■責任の行方-後編(1歩いっぽ44.5)
濃い目のアイスティーオーレが疲れた身体に浸みわたるようだ。
3分の1ほど一気に飲んで、ソファーに身体をあずけた。
最近奏江に教えてもらった少しリッチな雰囲気のカラオケ店は、ソファーやテーブルも良いものを置いていて、食事もその辺のカフェに負けていない。
歌うというより、個室で気兼ねなく話すために芸能人もよく利用するのだと奏江が教えてくれた。
「いい買い物できてよかったですね」
千織がティーソーダを飲みながら楽しそうに笑った。
「あの紺色のセットも買えばよかったんですよ」
「あ、あれはパンツのサイド紐だったじゃないっ!破廉恥よ!」
「破廉恥な事するために買ったくせに~」
ぐっ、とキョーコは言葉に詰まる。
初めての夜の準備をどうすべきかラブミー部の仲間2人に泣きついたのは自分なのだ。
「あれ…よりやっぱり寄せてあげる感じの買えばよかったかも」
「アンタ贅肉ついてないから寄せるモノなんてないわよ。だいたい脱いじゃうのにブラジャーで胸盛り上げてどうすんのよ」
「私的にはもうちょっと大胆でもよかったと思いますけどね。あの赤いエログロのとか」
「あれは大胆すぎて敦賀さんの心臓止まるわよ」
っていうか、と奏江がキョーコを睨みつけた。
「アンタ店で奇声上げ過ぎ!これからもあんな感じだったらもう買い物付き合わないからね!」
「そんな~モー子さぁん~。だって2人でパジャマは前開きの方が脱がしやすくっていいとか破廉恥な事言うから~」
「イチイチ想像するからでしょ!アンタの頭の中の方がよっぽど破廉恥よ!」
2人のやりとりに千織が声をあげて笑った。
「なんかー。女子会って感じですね。ラブミー部なのに」
「…ま、確かにそうね。高校生みたいだけど」
「これも敦賀さんがキョーコさんに準備期間を与えてくれたからですね。」
「確かにね。あ、キョーコ。ボディクリームちゃんと毎日塗ってるでしょうね?」
「風呂上りすぐに塗らなきゃだめですよ」
2人の言葉にストローを加えたままで頷いた。
2人に話すのは勇気がいったが、ティーン向け初めて特集の雑誌を手に入れてくれたり、身体のお手入れ方法のアドバイスをくれたり、こうやって下着の買い物に付き合ってくれたり、恥かしくも楽しい時間を持つことが出来た。10代前半の頃女友達に恵まれなかったキョーコにとってはすごく素敵な体験だった。
きっとあの聡く優しい恋人はこういうことも想定済なのだろう。
交際後初めて訪れた蓮のマンションでガチガチに固まるキョーコに「最初位は慌ただしくない時に」そう言って告げられたXデー。
その夜を想像すると恥ずかしくてのた打ち回ってしまいそうだけど、逆にまだベットまではいかないと思うと少しスキンシップが進んでも肩の力を抜くことができた。
そうしているうちに気付くようになった。時々蓮の手がすごく熱いことに。
キョーコにこの素敵な時間をくれる為に、きっと相当我慢しているのだ。
2年間も散々我慢させてきたというのに。
「私が敦賀さんにしてあげられることってなんだろう…」
ポロリと零れた言葉はしっかり親友達の耳に届いていて
「え?ベットの上でのことですか?はじめてなのに頑張りすぎたら、それこそ敦賀さんの心臓止まりますよ」
「ちがっちがうから!」
「分かってるわよ。敦賀さんが自分を大事にしてくれることに対してってことでしょう。別にすぐに返さなくてもいいじゃない。時間はこれから沢山あるんだから。まず最初は敦賀さんの想いを穿った見方をしないでちゃんと受け止めていくことだと思うけど?胸だってアンタ的には小さかろうがアンタのがいいって言ってるわけだし?」
「…うん」
頷くと、奏江が鞄から小さな紙袋を無造作に取り出してキョーコの前に置いた
「はい。これは私達2人から」
中から出てきたのは小さなネイル
「爪の先まで綺麗になって行きなさいよ」
「お守り代わりですよ~」
胸いっぱいと言うように小瓶を両手で包んで頷くキョーコは、女友達の眼から見ても抱きしめたいほどに愛らしかった。
「…よく我慢しましたね。敦賀さん」
「そうね…悟りか何か開いたのかもね」
楽しい女子会の翌日からは怒涛のような忙しさだった。
試写会、雑誌の取材、あちこちの番組に出ては映画の告知を行い、公開初日には舞台挨拶の為福岡、大阪、京都、東京を一日で回った。
2人一緒の時もあるけれど、1人だったり、監督や他の共演者と一緒だったり…バタバタと時間に追われる日々が過ぎて…
迎えた夜。
キュッ
シャワーの栓を閉じる音が響く。
もう充分にボディソープは流したというのに、蓮は浴室を出るべきかどうか迷っていた。
(もうちょっと…入っていた方がいいかな)
夕食の時からキョーコは壊れたロボットのようだった。会話も上の空だったし、きっと何を食べているかも分かっていなかったのに違いない。皿を片付けようとする手付きも危なっかしいので、言ったのだ。
「片付け、俺がするから。シャワー浴びてきたら」
その途端、キョーコの顔は赤くなり、次に青くなって…空気中の酸素濃度が一気に3分の1に減りました、と言った感じでハフハフと息をした。
こんな状態でキスなんぞかましたら救急車を呼ばなければならない事態になるだろう。
「俺も片付いたらシャワー浴びるから…寝室で待ってて」
すこし落ち着くための時間をと思ったのだが、最終通告に聞こえたのかもしれない。再び真っ赤に染まったキョーコは飛び上がり、なぜだか敬礼をすると浴室に走り去っていった。
(落ち着くための時間いるよな…俺の為にも…)
そう蓮は分かっている。
何より落ち着いていないのは己自身だ。
今朝は早くから仕事だったのに、その出発前に何度ベットの確認をしただろう。
食事中だってキョーコがサラダを口に運ぶ仕草だけでもうどうにかなってしまいそうな気分になっていたのに。
「お風呂空きました」と、キッチンの入り口から顔をのぞかせたキョーコのシャンプーの匂いを嗅ぎ分けクラクラしていたというのに。
(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け…)
念仏のように唱えた後、最後の仕上げに冷水のシャワーを被り浴室を出て、鏡に映るがっついた男の顔に苦笑する。あまり刺激のない恰好にするためTシャツとパジャマのズボンの姿になった後暫く考えて…コンタクトを外した。
いつも歩いている廊下を裸足で歩くペタペタという足音が妙に耳に入る。
小さな音と共に寝室の扉が開けると、照明を極力まで控えめにした薄暗い中でキョーコの姿が見え、その華奢な身体が寝室の入り口から見ても分かる位に震えているのが分かって、思わず蓮は言った。
「…今夜はやめておこうか?」
その言葉にキョーコは横に大きく頭を振った。
「でも無理まで「無理してます!!!」」
震えてはいるけれど、養成所仕込みの大きな声
「初めてだから恥ずかしいし、怖いし、もう限界Max、いえそれを通り越すほど無理をしています!!!」
「なら「それでも!!!」」
「どんなにしたって初めては恥ずかしくて怖いだろうから…初めては敦賀さんがいいんです!敦賀さんじゃなきゃ嫌なんです!!」
そう宣言するキョーコの顔は青いを通り越して土気色、姿勢正しく正座する姿は初めての夜に恥らう乙女どころか切腹前の武士のようだ。
決死の表情だって、色気とか可憐さとかそんなものは欠片もないのに…
その決意が嬉しくて
その表情さえも可愛くて
その震える身体が愛おしくて
何より、そんな姿の彼女にさえも興奮する自分って…
相当にイカれている
責任とる気満々なんだろう?と敏腕マネージャーは聞いてきた。
責任?それはむしろ…
足早にベットに近づいた蓮はキョーコを抱き寄せながら言った。
「責任とってね。」
「へ?」
何のことか分からない、と言った様子のキョーコをぎゅうぎゅうに抱きしめながら言葉を続ける
「こんなに可愛くって、一生懸命で、優しくて、強くてでも守ってあげたくて、奇想天外時々怪奇な子と付き合ったら、もう別の女性なんかとは付き合えない」
「最後のほう…けなしてませんか?」
「ほんの少し上目遣いで見つめられるだけ、シャンプーの香りが微かにするだけ、土気色の顔だって興奮するような性癖にもされちゃったし、きっと今夜抱いたりしたら、もう余所では男として役に立たない」
なんですか、性癖って!と腕の中でキョーコが猛烈に抗議する。
「きっと…もう君だけだ」
抗議をやめてキョーコは思い出した。
蓮の想いをちゃんと受け止めてあげることだと、奏江にアドバイスをもらったことを。
「だから責任とって」
いつもより早く打つ蓮の心臓の音に今更ながら気付く。
そしていつも以上にきちんと整えられたベット。
百戦錬磨に見える蓮も緊張しているのだろうか?
もぞり、と少し身を離したキョーコが蓮を見つめて、頬に手を伸ばした
「目…コンタクト取ったんですね」
「…ああ。ハワイで言ってくれただろ。久遠・ヒズリも敦賀蓮も俺だって。だから最初の夜はこの姿が相応しいかなと思ったんだ。」
敦賀蓮の黒髪と、久遠・ヒズリの碧の瞳。
情欲に燃え、でも少し揺らいでいるその瞳。
これから起こることを望み、期待し、そしてどこか不安なのだろうか。ちゃんと自分を受け入れてもらえるかと。
キョーコと同じように。
そう思ったらいつの間にか震えが治まってきた。
互いに愛し大切に想ってくれる人。
その人がキョーコを欲してくれている。キョーコだけが欲しいと望んでいる。
喜びが溢れてきて、自然と顔が綻んだ。
その想いが嬉しいのだと、受け止めたいのだと伝えようとして…
「どーんと来いです」
うん、と小さく頷いて、また1歩関係を進めるべく蓮はキョーコの身体をベットに横たえた。
(おしまい)
この後は皆様の脳内で!
敦賀さん来年の誕生日には想いを告げれているのでしょうか?
がんばれー。幸せを祈ってるよ!!!
木曜日には「強く欲するモノ(1)」を通常公開します。今週は割と働き者です。
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コメント
ちょび
Re: 最高のハッピーエンドです!
>mochiko様
1話からの読み返し!有難うございます。
我慢強く2年待った敦賀さんにご褒美企画です(笑)
どうかこれからもご訪問お待ちしていまーす。
ちょび
Re: 蓮誕にふさわしい素敵なお話
>魔人sei様
ラブミー部の応援は嬉しいでしょうが、社長までに情報がいかなくてよかったですよね~(笑)
敦賀さんのキョーコちゃん偏愛をどーんと受け止めて欲しいと思います
有難うございました。
mochiko
最高のハッピーエンドです!
ちょび様こんばんは。
本編の1話からまた読み返して、続編楽しみにしてました。
本編の最終話がアップされて、蓮さま&キョコたんのその後を書いて欲しい!と熱望していましたよ。
最高にハッピーなお話をありがとうございました。
蓮さま&キョコたんお幸せに!
ちょび様、これからのお話も楽しみにしてますね。