2014_10
06
(Mon)11:55

賭けの勝敗-8(記憶喪失のための習作2)

本日もグダグダと続きます
金曜日に書いている途中で一瞬公開しちゃったんですが、見た方いらっしゃいますかね?
お恥ずかしい…


2014/10/6





■賭けの勝敗-8(記憶喪失の為の習作2)



(あれ…?)

ぼんやりと見た天井がいつもの寝室ではない。
だが、見覚えはあるここは…

(ああ…リビングか…)

今朝早くに目が覚めたらキョーコが隣に寝ていなかったのだ。物音を追ってキッチンまで来てみれば、朝ご飯の下ごしらえをしているキョーコの姿があって、

(朝ご飯よりキョーコが傍にいていくれる方がいいとか言ってるうちに盛り上がったんだった)

そうか、そうかと納得して、自分の胸の上にうつ伏せになって寝ているキョーコの顔を覗き込む
睫毛が時々震えているところを見るともう暫くしたら起きるのかもしれない。
かかっていた毛布をキョーコの肩までしっかり隠すと、今は茶髪にしている髪を手で梳いて、唇を落とす

(さて…と)

キョーコは明日明後日と野外ロケと言っていた。天気予報を確認しようとソファーから手を伸ばして、テレビのリモコンを掴むと電源を入れた


『敦賀蓮さんこと久遠・ヒズリさんが昨夜来日され、急なことだったにも関わらず沢山のファンの出迎えを受けました。』

丁度取り上げられていたのは自分こと

『滞在期間はおよそ10日間。アルマンディのモデルとしてのお仕事とCM撮影のほかはゆっくりされるそうですよ』
『なんでもついてすぐに、愛車で京子さんを迎えに横浜まで行かれたみたいで』
『えーっ、ラブラブですね。いいなあ。京子さん』

「…おはよう」
「おはよう。キョーコ」

まだ眠いのか、うーとかむーとかブツブツいいながら顔の向きを変えて、ぼんやりとテレビを見ている。

『このお2人もお付き合いが1年になりますよね。そろそろ結婚とかあるんでしょうか?』
『年内結婚、十分あると思います』

(またこのネタか)

交際を発表したらしたで、次は結婚するのか?するならいつか?どこでか?マスコミは本当に煩い。
こういうことくらいそっと見守って欲しいものだ。

「こんなにつつかれたら、キョーコが感動するようなサプライズとかできなくなるじゃないか」
「…そういう呟きは胸の中でしてよね。コーン」
「だって、予告しとかないと吃驚して逃げたりしそうだし」

テレビ画面では2人の年内結婚がどうしてありうるのか、様々な根拠をあげていた芸能レポーターが話を締めくくっている

『なんだかお2人のとっておきのネタがあるって聞きましたけど?』

次にMCが話を振ったのは、あちらの芸能通として知られるアメリカ人コメンテーター

『そうなんです。Mr.クオンは先日ある大きいパーティーに出席したんですけど、そこで爆弾発言があったんですよ』

(ん?)

2人はテレビ画面に注目した

『ニコル・アンジェラに絡まれたMr.クオンはですね』
『ニコルって敦賀さんと前付き合ってましたよね!!!』

(不味い…)

テレビを消そうとリモコンに伸ばした手はキョーコによって阻まれた。

『そうなんですよ。ニコとは深い関係にならないまま、それが原因で破局したって話なんですけど、そのことで嫌味を言われたMr.クオンは“今は使いすぎてよく叱られる”って返したそうなんです!』
『使いすぎってそっちですかぁ?あの敦賀さんが?マジ?』
『いやーん。まだ朝の10時ですよぉ』

「く~お~ん~っ」

キョーコの背景に”ゴゴゴ”と効果音の文字が読める。

「何あれ!?私、今日撮影どんな顔して行けばいいのよ!!?」
「落ち着いて、キョーコ。」
「これが落ち着いていられるわけないでしょ?」
「そうじゃないんだ…おかしいな。ニコとマネージャーしかいなかったのに…」
「やっぱり言ったんじゃない!!!」

クッションで盛大に殴られたが、ちゃんとマスコミに訂正することを約束し、キョーコの腹の虫が悲鳴をあげたことでなんとか事は収まった。

「罰としてベットのシーツ替えてからシャワー浴びる事!」
「はーい」

なんだかんだ言ってキョーコは蓮のごめんねに弱い。やれやれと一安心していたら

「反省してないんだったら、だるまやに今夜から泊まるからね!」
「してる。してます!」

慌てて寝室に逃げ込んだ蓮の顔は、ドアを閉めると再び緩んだ
怒られようがどうしようが、キョーコがそばにいる。それが実感できることに沸々と幸せを感じる。

(でもこれ以上ご機嫌を損ねないようしないとな)

せっかく傍にいるのに接触禁止は色々堪える。ご機嫌をとるためにベットメイキングもちゃんと、とシーツを勢いよく剥がしたら、ベットヘッドに置いているフォトフレームがシーツに巻き込まれて落ちた。

「しまった」

キョーコが一人暮らしの部屋から持ってきたそれ。
ポケット式の台紙がリングにぶら下がっていて、めくると色々な写真を見ることが出来るフォトフレームには付き合ってからの2人の写真がおさまっている。まだ半分ほどしかポケットは埋まっていないが、2人のこれまでを振り返ることが出来て連も気に入っていた。
それが欠けたりしていたら縁起が悪い。
手に取って確認してみたが、シーツにくるまった上に下は厚めのラグだったため大丈夫なようだ。
拾いついでに写真を捲って、1年前付き合いたての2人の写真をトップに持ってきた

(幸せそうな緩んだ顔してるな俺…)

敦賀蓮や、俳優久遠・ヒズリとしてはどうかと思うが、一個人としてなら問題ないだろう。丁度交際1年だしこれを飾ろうと思って気が付いた。

(あれ?1枚目のポケットに写真が入ってない)

1枚目だけ少し凝った台紙となっているポケット。それは空っぽだった。

(入れ忘れ…それか特別な写真を入れようとしてるとか)

付き合った当初から結婚を意識していることは度々口に出してきたし、キョーコにも否定されたことはない。
もしかしたら1枚目には結婚式の写真を飾ろうと思っているのかもしれない。

(プロポーズ。キョーコも待ってるのかもな。)

蓮は顔をさらに緩ませてフォトフレームを元の場所に置くと、新しいシーツをかける作業に入った



「コーン」
「何?」

キョーコは蓮の顔をじっと見つめた。
かつての自分が妖精界の王子とも思った金髪グリーンアイの美貌が、ご飯茶碗片手に千枚漬けを食べる様はなんだかある意味シュールだ。

「あっちで撮ってた映画、敦賀蓮で出たんでしょう?」
「うん。」
「出入国も最近は敦賀蓮=久遠・ヒズリが認識されてるからどっちでもいいって言ってたよね」
「うん。…このアジの開き美味しいね」
「大将から頂いたの。こっちでもCM撮影も敦賀蓮なんでしょう?なのにどうして髪の色戻してきたの?」

ごくん。とアジを飲み込んで、蓮は言った。

「CMはウイッグでも問題ないやつだし、この姿だとキョーコがコーンって呼んでくれるから」
「何それ?」
「髪黒いと“敦賀さん”って呼ぶだろ?。あの呼び方も好きだけど喋り方とかどっか固いじゃないか。この姿の方がタメ口で親密度が上がる気がする。」
「…別に口調は変わっても遠慮とかしてないよ?」
「うん。分かってるけど、なんか気分的に」
「…そんな事考えてたんだ。」

アジの開きから目線をあげると吃驚したような顔でこちらを見つめるキョーコの顔

「そんな事って?」
「親密度とか」
「そりゃ好きな子とは親密でいたいだろ?」
「そうなんだ」
「そうなんです」

ほにゃら、とキョーコは顔を緩ませながら味噌汁に口をつけた

もうブランチと言うべき朝ご飯を食べ終わると、ドタバタと後片付けや洗濯物を2人でやっつけて、そろそろ出かける時間。
少し早めに出ようと玄関に向かうキョーコを後ろから抱きしめた

「何?」
「うん?帰ってきたなあと思って」
「今から出かけるんだよ?」
「どこだってキョーコのいる場所が俺の帰る場所なんだよ」

こちらを見ていたキョーコの瞳が潤み揺れた。
そのまま真っ赤になり前を向いたが、暫しの間をおいて絞り出すような小さな声が蓮の耳に届いた

「…わ…たしも、そ…う思ってる」
「…うん。キョーコが同じように俺の事愛してくれてるのは、ちゃんと伝わってるよ」
「ほんと?」

がばりっとキョーコがこちらを向いた。

「うん。キョーコは分かりやすいからね」
「なにそれ!?」

もう行こう。と真っ赤な耳のまま歩いていくキョーコの背中を蓮は追った


キョーコは時々こうして照れながらも一生懸命蓮への愛情を口にする。
その時、溢れるほどの幸せを感じると同時に思うのだ

キョーコはちゃんと愛情を伝えなくて後悔した過去があるのではないかと。

(たとえばそれが原因で別れた…とか)

それがもしかしてキョーコの“初めて”の相手かもしれない。

だとすればなんと愚かな男だろう
キョーコは直接的な言葉での愛情表現は苦手だが、その表情でその仕草で連への想いを伝えてくれる。
その暖かく深い愛情はこんなにも幸せをくれるのに

ましてキョーコを抱いたことがあるのに手放せるなんて

ゆっくりとキョーコを追っていた足を速めて追いつくと、キョーコの手に己のそれを絡ませる
キョーコは蓮を見上げて、てれてれと笑った。

(キョーコはもう俺のものだよ)

見えない過去の男への行き場のない嫉妬を抑え込み、蓮はキョーコを覆うように身体を折って唇を合わせた。



(9へ続く)




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Re: 自分のことを自分で「愚か」…

> genki様
そうですよね。自分に愚かとか思ってるかなりお間抜けな状態です。でも、ほら、夢にも思っていませんから(笑)
伏線あちこちにばらまき過ぎて回収し忘れそうで怖いのですが、そろそろ回収時期ですね(^_^;)

2014/10/08 (Wed) 00:32 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

Re: ほんわか気分が・・・

> ゆうぼうず様
いつも有難うございます。
今回はキョーコちゃんの心情はなるべく出さないようにしているので、皆様色々考えてくださって嬉しいです。
時々はっとさせていただいたりしています。

2014/10/08 (Wed) 00:29 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

Re: あぅーあぅーっ(´ノω;`)

> 小夜子様
まだなんですよー( ̄▽+ ̄*)
過去の自分に嫉妬する敦賀氏の姿はある意味マヌケかなーと危惧しておりましたので、切なく感じていただいてよかったです。

2014/10/08 (Wed) 00:26 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

自分のことを自分で「愚か」…

こんばんは。この蓮さま、記憶が戻ったら袋叩きにしていいですか?自分のことを自分で「愚か」なんて、ダミーホ!!と叫んでしまいたい欲求に駆られました。逆にキョーコちゃんは忍耐強くて健気で素敵な女性として描写されていますね。
一枚目のフォトフレーム、気になります。伏線が一杯あって、毎回続きが気になります。とても面白いお話、どうもありがとうございます。

2014/10/06 (Mon) 21:59 | genki #- | URL | 編集 | 返信

ほんわか気分が・・・

更新嬉しいです。ありがとうございます(*´∀`*)
二人の日常の仲の良さにほんわかぁ.°゜*
でも、キョーコの過去を穏やかに(嫉妬まじりではあるものの(^-^;)思いやる蓮に切なさヒシヒシ感じます。こんなに幸せでもキョーコはやっぱり全て思い出して欲しいのかな?なんて思ってしまいました。
次話も楽しみにしてます(*^^*)

2014/10/06 (Mon) 15:03 | ゆうぼうず #- | URL | 編集 | 返信

あぅーあぅーっ(´ノω;`)

前回の終わり方で、次はもしかして蓮さん記憶蘇るのかな~と思っておりましたが
まだなんですねーっ(´;д;`)ウッ…

そして、過去の自分に嫉妬する蓮さん。
例のフォルダのパス、分かる時がくるのか?
と切ないながらもジレジレしております(*´艸`*)
次回も楽しみです♪

2014/10/06 (Mon) 13:39 | ☆小夜子★ #- | URL | 編集 | 返信

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