2015_05
14
(Thu)11:55

愛の青春の化学反応(リクエスト)(後編)

111番目アメンバー様小夜子様からのリクエスト「学園パロ」

いつか蓮キョがくっつくまでの本編「恋と青春の化学反応」も書いてみたいと思っています。誰か私に化学の知識をください。


さてさて、後編です。
ちゃんと着地できてますか?

2014/10/24初稿、2015/5/14一部修正の上通常公開




ドアを開けると、キョーコは着替え中だった。

「きゃっ!」
「あ、わりぃ!」

慌ててドアを閉めようとする手をキョーコの手が阻む。
訳が分からず、キョーコの顔を見ると頬は赤く染まり、見上げる目は潤んでいる
その艶やかな唇が小さな、でも熱を帯びた声を紡ぐ

「ショーちゃんなら…いいから…」



■愛と青春の化学反応(リクエスト)(後編)



「なんか楽しい妄想しているところ悪いけど、キョーコちゃんならまだ帰ってきてへんよ」

女将の声に、ショータローはここがキョーコの部屋の前であることを思い出した

「も、妄想ってなんだよ。俺はちょっと考え事してただけだっ!」
「どっかいってしもとう目と、緩んだ口元が妄想しとる証拠や。妄想癖治らへんなあ」

相手は赤ん坊のころからショータローを見ているのだ。反論できずに話題を変える

「アイツまた敦賀の所でお勉強かよ?根つめすぎると受験前に息切れするぜ」
「私はあんたにはいっそ窒息寸前まで勉強して欲しいけどな。安心しぃ。キョーコちゃんは息抜きに敦賀さんと映画観にいってるんや。9時には帰るってゆうてたからそろそろやろ。…どこいくんや?」
「コンビニだよ!コーラが飲みたくなった」
「コーラなら冷蔵庫入ってるで」
「おれはコク・コーラじゃなくてヘプシがいいんだよ!」

へえ、それはそれは、と女将は手をひらひらさせてショータローを見送った。

ショータローは裏口を出ると、脇道に入りウロウロと歩き回る。
ああ言った手前コーラを買って帰らないと格好がつかないが、コンビニに行っている間に目標を見逃しては元も子もない。
5分もしないうちに目的の人物の声が聞こえた

「今日は有難うございました。すごく楽しかったです」
「どういたしまして。俺も楽しかったよ」
「九条ネギと鴨肉のパスタ美味しかったですね。今度敦賀さんのお部屋で作ってみようかな。」
「ほんとに?楽しみにしてる」

(キョ~コォ~。まさに鴨がネギしょってるじゃねえかっ!!)

ああ、あのガッチリ繋がれた手を手刀でバッサリやりたい。でもそんなかっこ悪いことはできないと地団駄を踏む
ただし、音は出ないように細心の注意を払って

この角を曲がれば松乃園の裏口、という所で蓮は立ち止まった。

「キョーコ…」

少し控えめの声が聞き取れなかったのか、キョーコが横を見上げると、2人の顔が重なった。
すぐに蓮の顔はキョーコから離れ、2人は何か囁き合い笑っている。

(う、う、うぅおぉのぉれぇ~!)

天下の往来でキスとはなんたる不謹慎!なんたるふしだら!

(やっぱりこんな厭らしい交際は断固反対だ!)

怒りにまかせて電信柱に爪を立てる。

だが、本当はショックだったのだ。
キスされて蓮を見上げて笑う顔が、妄想で浮かんだキョーコの何倍も艶っぽく可愛かったことが。



玄関までキョーコを見送った蓮が角を曲がるのを確認してから、ショータローは家に入った。
キョーコは丁度ブーツを脱ぎ終わった所だった。

「あれ?ショータロー、今日も出かけてたの?」
「…コンビニでコーラ飲んできたんだよ」

ふーん。とキョーコは何食わぬ顔をしてブーツを片付けている

(こいつ…あんな破廉恥なことしといて、いけしゃあしゃあと…)

ここは一発バシッと言っとくべきだろう。

「キョ「モロソフのプリン買ってきたけど食べる?」」
「へ?…俺の分もあるわけ?」
「いらないなら「喰う!」」

一発バシッと!を思い出したのは、お笑い番組を見ながらプリンという至福タイムが終わってからで、当然のことながらキョーコはもう居間にいなかった。

*
*

2日後

ショータローは学校帰りに楽器屋まで足を延ばした。
顔見知りの店員とギターを前に話が弾み、店を出るといい時間になっている。

(Tシャツも見に行きたいけど…もう帰らないと晩飯に間に合わねえな)

両親は忙しいため、夕飯は基本遅い。だが、今日はキョーコが作ると言っていた。
それなら煩い母親の干渉もなく、キョーコと久しぶりに2人きりの食事が出来る。

(まあたまには一緒に飯喰ってやるか。)

鼻歌を歌いながら雑踏の中を自転車を押す。
もう就業時間を過ぎているので街を歩く人の数は多く、なかなか進めない。
そんな中でも背が馬鹿高い男はよく目立ち、見覚えのありすぎる顏にショータローは足を止めた。

絶対に認めたくはないが、よく似合いそうな高級服飾店から出てきた蓮は一人ではなかった。
買い物したのは女だろう。
蓮に荷物を持たせて、その腕を絡ませているのはこれまた店に似合いのナイスバディ金髪超絶美女

女はまだ買い物があるのか、次の店を指差し蓮に何か言っている。
蓮は苦笑しながらも優しい顔で頷くと、その店に向かって歩き出した。

(ど…ういうことだよ)

混み合う街で自転車と共に立ちつくすショータローを、道行く人が迷惑そうによけていく。



混乱したまま家に帰ると台所にキョーコの姿はなく、忙しいはずの女将がいた

「おかえりぃ。今日は早かったんやな」
「ああ…」
「キョーコちゃんが熱出してなあ。」
「え?インフルエンザか?」
「学校帰りに病院行ったら違うって言われたみたいや。あんな状態で1人で病院いくやなんて…もう、遠慮せんとゆうてくれればうちが付き添うか迎えに行くのに」

ブツブツと話がそれだした女将にショータローはイライラする。

「そんなことより、熱高いのかよ?」
「38度ちょっとあるわ。もしかしてインフルエンザやったらあかんからゆうて、また遠慮するんやで。水臭いなあ」

少し寂しそうに女将は言うと、1人用の土鍋がのったお盆をショータローの前に差し出した

「これ、キョーコちゃんの部屋に運んでくれるか?」

ショータローは頷いた。これで様子を見ることが出来る。


キョーコは起きていたらしい。
ノックすると返事があるのでドアを開けると、布団の上に身を起こして携帯を弄っている

「熱が高い時にそんなもんばっか見てたら気分悪くなるぞ」
「ん・・・そうね」

キョーコは妙に素直に、開いたままの携帯を敷布団の横に置いた。
赤い頬と潤んだ瞳が女であることをいつもより意識させられてドキドキする
高熱の所為か、甘い香りがお盆を手に立っているショータローの鼻腔にまで届き、いたたまれない。

「明日…敦賀さんと駅前のカフェで待ち合わせなのに無理そうだから…それだけメールしようと思って…」

気だるげに話すキョーコの話を聞いていると、金髪美女と腕を組んで仲睦まじく買い物をしていた蓮の姿がチラついた

(な…んだよ。結局弄ばれてるのにこんな時まで敦賀かよ…馬鹿なんじゃねえか)

今度こそ目を覚まさしてやろうと、一歩踏み出した…その先にはキョーコの携帯があった

ばきっ

ショータローと鍋焼きうどんの重量を受けて、携帯は2つの大きな塊と無数の小さな破片に分裂し…沈黙した。

*
*

翌日の学校帰り、ショータローは少し遠回りして駅前に行った

昨夜は怒ったキョーコに部屋から追い出された。
流石のショータローもバツが悪い。どうやらキョーコは親友の琴南奏江に蓮への伝言を託したようだが、奏江は今日委員会なので、蓮を待たせることになるだろう。キョーコが来れないことだけ言ってやろうと思ったのだ。
あのしょぼい駅前で、あの男が待ち合わせしようとするカフェなんて1、2軒しかないからすぐわかる。

(やっぱり。ここだ)

オープンカフェに座る蓮が見えて、ショータローは自転車を降りた。
近づこうとして、観葉植物で見えなかった向かい側に先客がいることに気が付く。

(え…)

優雅にエスプエッソを飲んでいるのは、昨日の金髪美女に間違いない。
ショータローは回れ右をして自転車に戻った

(阿呆じゃねえの?)

あんなに熱出しながらも嬉しげにメールを送ろうとしていた蓮はもうパッキン女に乗り移る気満々で
今日の約束は別れを言い渡すだけだったのだ。

(ほんとに…あいつはどうしようもない位阿呆だ)

あんな男、散々待たせてやればいいのだ。
連絡先が入った携帯なんぞもっと粉々にすればよかった。

(言ってやる!家に帰ったら敦賀に女がいる事言ってやる!)

キョーコは泣くかもしれないが、あんな鬼畜野郎のことは一刻も早く忘れるべきだ

猛スピードで愛車を玄関先に乗りつけて、乱暴な足取りで2階に向かおうとして・・・居間にキョーコがいるのが気が付いた。

「キ…」

キョーコはちゃぶ台に壊れた携帯を並べている。こちらに背を向けているので表情は見えないが、その背中は丸まって、肩は小刻みに揺れていた

泣いているのだ。

そう気付いた途端、ショータローはまた回れ右をして家を飛び出した
マッハのスピードで愛車を漕いで、先程のカフェに向かう。



「いらっしゃいませ~。お一人様ですか?」

カフェの店員を無言で押しのけ、蓮の席に一直線に向かった
蓮が携帯をチラチラ気にしながらも、金髪女と談笑しているが見える。

胡散臭い経歴で顔と学歴だけいい鬼畜野郎
キョーコと別れてくれればいいと思っていた

だけど

だけど

それでキョーコが泣くのは勘弁ならない。絶対に。


「おい!こらっ!」

突然の怒鳴り声に、2人がこちらをみた

「キョーコが熱で苦しみながらお前に連絡が取れなくて泣いてるってのに、女とお茶か?いいご身分だな!!!確かになあ、キョーコはメルヘン思考で、馬鹿正直で、胸もペッタンコで色気もねえよっ」

だけどなあ、と蓮に一歩近づく

「料理上手で、まじめで、頭もいいし、何より気立てがいいんだよ!お前…うちのキョーコに何が不満だってんだ!!!」

大音量で叫び終わった途端、胸ぐらをつかまれた
蓮ではなく金髪美女に

『キョーコが熱?本当なの?今すぐ連れて行きなさい!!!』

*
*

「敦賀の母親~!?」

不破家の居間でショータローは素っ頓狂な叫び声をあげた。

「そうよ。敦賀さんのお母さん。」
「いや、だって、金髪…」
「敦賀さんクォーターなのよ。日本では目立たないように髪を染めてコンタクト入れてるの」

髪が金髪だろうと黒だろうと鬼畜野郎は充分目立つ。なんてややこしいことをしてくれるのか

「じゃ、知ってたのか?」
「知ってたわよ。今日お会いする約束もしてたし」
「じゃなんで泣いてたんだよ?」
「はあ?」
「さっき、携帯見ながら肩震わせてただろ?」
「ああ…あれはあんたへの怒りに震えてたの!携帯買い換えたらいったいいくらかかると思ってるのよ!」

言いあう二人の横では、金髪美女が『キョーコ具合大丈夫?おかゆ作りましょうか?』などと言っていて、蓮が必死に止めている。
ショータローは改めて敦賀蓮の母親を見た

「いや…だって…若すぎるだろう?親子には見えねえよ!」
「まあ…確かにそう…よね」

すると、蓮がキラキラした笑みを浮かべて言った

「キョーコの“お父さん”だって若くみえるじゃないか」
「「へ?お父さん?」」
「お父さん代わりの松乃園の板長さんだろ?」

違うの?と首をかしげる鬼畜野郎
この部屋に男は鬼畜野郎とショータローだけだ。…ということは…

「ば、ば…馬鹿言ってんじゃねえ!!!誰が板長だ!それは親父だ!」
「え?違うの?」
「俺のどこが40代に見えるってんだよ!?だいたい、お前去年俺のクラスの化学も担当してたじゃねえか!ってか、俺、今制服着てるだろ!?絶対わざとだろ!?」
「え?そうなんだ?」

蓮は上から下までショータローをまじまじと見た後、キラキラと眩しげに笑った

「そう言われてみるとそうだね。不破君、物言いとか…色々老けてるね。」
「お前にだけは言われたくね――――――っ!!!!

絶叫しながらショータローは再度誓った


この交際には断固反対だっ!!!



(おしまい)





小夜子さん、これで許してもらえるかしら?

小夜子さんのリクエストは「学園パロで、最後にチチショー」
最後どころか最初からずっと父ショーだし(笑)

実は脳内では題名も「恋と青春の化学反応」で蓮キョがくっつくまでの話だったんですけど、父ショーがいつまで待っても出てこないので、こういうことに…

青春なんて遠い過去の私には学園パロなんて絶対無理だと思ったのですが、なんとか書けた…かな?
リクエストが無かったら絶対挑戦しなかったと思います。
ありがとう!小夜子様!!!

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Re: 感謝感激!

> 小夜子様
楽しんでいただけてよかったです~
気に入っていただけるかドキドキだったので。
学園物なんて絶対書けないと思っていたけど、松さんと女将さんのやりとり書くの楽しかったです。
小夜子さんがリクエストしてくれたお蔭で、チャレンジできました。
本当に有難うございます!

2014/10/25 (Sat) 01:25 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

あ!追記で

何度もすみません

「ほんのわずか」の番外編も楽しみにしておりますー♪

2014/10/24 (Fri) 15:50 | ☆小夜子★ #- | URL | 編集 | 返信

感謝感激!

いやいやいやいや!!
もうとっても最高でした!
最初から最後までブレることのない「父ショー」、大満足でございますです!

「お前…うちのキョーコに何が不満だってんだ!!!」
ここ一番大好きです♪
なんだかんだと「自慢の娘です」をアピールする父ですね、分かりますw

原作の方でも、わたくし尚は嫌いではない方です。
彼はいつまでもキョコさんの父ポジションでいて欲しいと個人的には思っておりますですw

こちらこそ、無理難題なリクエストをポイっとしてしまったにも関わらず
本当にありがとうございましたー!
ホクホク♪

2014/10/24 (Fri) 15:47 | ☆小夜子★ #- | URL | 編集 | 返信

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