2014_10
29
(Wed)11:55

雨の帳(とばり)

珈琲色の誘惑に負けました(笑)
どう考えても私の妄想浮いてしまっていますが…

詳しくは財布忘れた…をご覧くださいませ。
他の皆様の素敵作品はこちらから[会場]思いつきアンケートのお宝お披露目
どちらもmoka様の別宅です。マナーを携帯して行ってらっしゃいませ。

なお、導入はmoka様の文章をお借りしていますが、多少弄っております。


2014/10/29


昼なのに薄暗い雨の帳が視界を覆う



■雨の帳(とばり)



「どうしたの?」

不思議そうにかけられた蓮の声に、キョーコは、はたと足を止めた。
思いあまって、ロケ先を訊ねたものの、何か用事があったわけではなく
・・・ただ、姿を見たかっただけ。
・・・そんなこと、言えるはずもないのに。

「最上さん?」

近寄ってくる大きな人。
翳している傘も大きくて、キョーコとの間を遮る雨脚がどんどん少なくなる。
それは帳(とばり)が1枚1枚剥がされていくようで…。
心配そうにキョーコを見るその整った顔立ちが、黒い瞳が、段々とはっきりと姿を現して。

ぽつん

キョーコの傘に大きな雫の落ちる音
もう隔てる雨の帳は無い。

そう思ったら願望がするりと言葉になった。

「・・・・暖めて下さい。」


「…今何て言った?ごめん、聞き取れなくて」

暫しの間の後、蓮にそう尋ねられキョーコは我に返る

「あ、いや。その…役が掴めてない所があって…アドバイス戴こうかな、とか厚かましいことを思い立ちました!」
「…そう」

先程の雰囲気を霧散させるが如くブンブンと手を振り力説するキョーコに、眉を寄せながらも蓮は納得して見せた

「丁度休憩中なんだ。控え室に行こうか」

蓮が少し離れて歩き出す。
煙る雨にまた蓮の姿が霞み、間近にいたことで和らいでいた寒さがぶり返し、キョーコは小さく震えた


「あれ?キョーコちゃん?事務所のお使い?」

建物に入ると、電話をしていていたのだろう。手袋をした社に声をかけられた

「ちょっとアドバイスを戴こうと…」
「そうなんだ。あ、また電話だ。ごめんね」

2人に断ると社は鳴り出した携帯を耳に当てた

「最上さん、行こうか」
「あ、はい」

撮影の間人気がなかった控え室は、空調が効いているのにかかわらず薄ら寒くキョーコは感じた。

「室温、上げようか」
「いえ!大丈夫です」
「少し震えてる。こんな底冷えのする雨の日にそんな格好で歩いてきたんじゃ無理もないよ」

キョーコの姿はブラウスにスカートの制服姿
昨日の日中が暑かったので油断したのだ。

「濡れてない?タオル出そうか?」
「だい、じょうぶです」
「でも靴は濡れてるよ。せめて今の間だけでも脱いだら?」

確かにローファ―は濡れそぼっている。このままだと靴下にも滲みてしまうだろう
奥の畳部分に座らせてもらうと靴を脱いだ。

「…どこ?」
「え?」
「役、掴めてないんだろう?」

その場をごまかすための嘘だったとはとても言えない。慌てて脳内を引っ掻き回す

「え、え、とですね」

コンコンッ
ノックの音と共に社の「蓮、ちょっといいかあ」という声が聞こえた

「はい。…ちょっと待っててね」

蓮は部屋を出て行き、キョーコは息をついた
しん、とした部屋
室温はあげられたはずなのに。寒い
見回すと、ハンガーに掛けられた蓮のジャケットが目に入った。

そろり、そろり
近寄って、キョーコ以外誰もいない部屋をもう一度見回す
蓮は撮影が再開されたか打合せだろう。暫くは戻ってこないだろうし、戻ってきてもドアをノックしてくれるからきっと取り繕える。
ほんの少しだけ。ほんの少しだけ
そう言い訳して、ジャケットに手を伸ばした
膝を抱えてなるべく小さくなり、肩からかけた蓮のジャケットに覆われるようにして目を閉じる

微かに漂う蓮の香り
でも温もりは無い

「馬鹿よね…暖めて下さい…だなんて」

昨夜観てしまったのだ。蓮が演じるラブシーンを。
9時台のドラマだ。そんな過激なシーンではなかった。キスと抱擁、そしてベットに沈み込んでいく…それだけ
でも、蓮の彼女を見る瞳は愛おしさに溢れていて、触れるその手は情熱的で。
その熱に彼女の心が溶けていくのが伝わってきた。

気がつけばドラマは終わっていて、キョーコは1人テレビの前に座っていた。
そして、外は雨が降り出していた。

寒い。

サムイ
サムイ
サミシイ

1度でいい。あの腕に包まれたら、あんな風に抱かれたらどんなに暖かいだろう。
そんな風に思ってしまった。

「敦賀さんには好きな人がいるのに。私を暖めてくれ…なんて」

胸の前でクロスしてジャケットを掴む手に力が入る
ジャケットに皺が寄ってしまうのに

「一度でいいから、昨夜のドラマみたいに、なんて…一度そんな風に触れられたら余計囚われてしまうのに」

馬鹿みたい…そう呟いた時、ジャケットが熱を持った

「いくらでも暖めてあげるのに」

耳元で囁かれる声に身体が強張る

「な…んで」
「社さんは缶コーヒー持ってきてくれただけだよ。最上さんの様子がおかしかったから、ごめん。ノックはせずに入った」

視界に2つの缶コーヒーが目に入った
パニックになり、逃れようとするのに蓮の腕がジャケットごとキョーコを包んで離さない。

「一度抱かれたら余計囚われる?なら、抱き潰すほど抱いたら一生囚われてくれる?」
「抱きつぶ…!」

その瞬間拘束が緩んだのはワザとだったようだ。
腕とジャケットから抜け出し、四つん這いで逃げ出た途端向きを変えられて、また捕らえられた
たいして広さはない畳部分、その壁に背をあずけて腰を下ろした姿勢で蓮と向かい合う。
蓮は右手を壁につけて、左手でキョーコの頬に触れた。その手は驚くほどに熱い

「外での言葉…ちゃんと聞こえてたよ。でも俺の願望からくる幻聴かと思った」

長い人差し指がキョーコの目尻近くを、親指は意味ありげに唇をなぞる

「好きな子…確かにいるね。目の前に」

え?と問い返すよりも早く唇が重なっていた
更に身体が強張ったが、優しく重なった唇が暖かい。少し力を抜いて身体の脇で握りしめていた手の力を緩めると、蓮の左手がキョーコの右手に絡まる
蓮の唇がほんの少しキョーコから距離を持った

「君が好きだよ」

もう一度唇が重なった
深くなるキスと、強く強く握り、絡まる手

熱い

こんなに息苦しいものかと思った頃ようやく解放された。

今度は両の手でキョーコの頬を撫でる手、こちらに向ける視線の熱さに耐えかねて目を伏せた
するり
蓮の手が首筋をなぞりブラウスの一番上のボタンに到着した

「え?あの…」
「カイン演じてた時、キスマークつけてくれたよね?覚えてる?」
「そ、それは勿論」

いたって普通に話しながら蓮の手はゆっくりとボタンを1つ外した
そして隠れていた肌の部分をなぞって…また下のボタンへ

「あの時キスマークのつけ方教えてあげようって言ったよね」
「は、はい」

またゆっくりとボタンが外され、広がった肌色を愛でるように蓮の手が触れて下がる

「あの時、君に印をつけたいっていう俺自身の願望が入っていた…なんて言ったら軽蔑する?」
「いえ・・・」

キョーコに見せつけるように外されたボタンと広げられる胸元
まるで一枚一枚、帳が剥がされていくようだ

「それはよかった」

蓮は妖艶に笑う

「誓うよ。醒めない熱を、一生君に捧げるって」

軽く唇が重なった、と思ったら蓮の唇はキョーコの首筋をなぞる
未知の感触に身体が弾けかけると、肩と腰を蓮の熱い手に拘束された
その間に唇は胸の少し上にたどり着いた

ちりり

痛いというより熱い
蓮の唇が。それ以上に自分の身体が。

何度も何度も同じ場所に印を刻まれて
蓮の熱がこちらに移されていく

沸騰する

キョーコは熱を逃すために出来うる限り首をのけぞらせた
空いた喉元に蓮の髪がかかり、その刺激にまた熱が上がる

やがて満足したのか、蓮の唇が離れて、またゆっくりと閉じられる胸元

「真っ赤だよ」

クスクスと笑いながら頬に戻ってきた手

「だ、誰のせいですか!」
「俺だね。本当は服越しじゃなく全身で暖めてあげたいけど」
「ぜっ!?こ、こここここっ撮影所です!」
「うん。だから今夜ね?」

差し出されたカードキー

「9時には帰れるよ。待ってて」

空いている左手が愛おしげに頭に触れて、乱れていた髪が撫でられ整えられる。
その手が少し歪んでいたブラウスの襟も整えた

「暖めてあげるし…色んな話もしよう」
「話…ですか?」
「うん。お互いの気持ちとか。色々…ね」

カードを受け取ると、引き寄せられてまた唇が重なる

「タクシー乗って帰って。社さんに手配お願いするから」
「はい・・・。あ、晩御飯作ります。ご希望ありますか?」

耳元で囁かれた言葉に聞くんじゃなかったと後悔した

「この…破廉恥紳士っ!」
「うん。すっかり元気だね。行こうか」

蓮が楽しげにドアを開けると、少し先に社が手帳片手に立っていた

「そろそろですか?」
「うん。呼びに行こうかと思ってたとこ」
「分かりました。あ、最上さんにタクシー呼んであげてもらえますか?」

2,3言葉を交わすと、蓮はキョーコに手を振ってスタジオに戻っていく

「じゃ、行こうか。キョーコちゃん。顔色すっかり良くなったよ。よかったね」

笑顔でそう告げる社になんだかいたたまれない
窓の外を見ると、変わらず振り続ける冷たい雨。

「よく降るね。道混まないといいんだけど」
「そうですね…」

相変わらず世界を雨の帳が覆っている

でも、もう寒くはない
ブラウスの下に隠れた印がまだチロチロと燃えて、キョーコに熱を与えてくれる。
この帳が、蓮のマンションに向かうキョーコの姿を、まだ秘密の2人の恋を覆い隠してくれるだろう

キョーコは笑顔で社に挨拶をしてタクシーに乗り込み、蓮のマンションの住所を告げた。


(FIN)




書いてる本人が自分の文才の無さにガッカリ
ちょび的ギリギリ限界まで行ってみようかと思って撃沈です(人様の企画にのっといてそれはないだろう)

mokaさん、ごめんなさーい
1日遅れですが、1周年おめでとうございます!!!
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コメント

Re: タイトルなし

> moka様
いや、もう本当に長いだけになっちゃいました。
でも限界にチャレンジできてスッキリしたので、こちらこそありがとうございます!

帳!帳なんてなんかエロいと社先生もおっしゃってましたから(笑)こういう流れになっちゃいました。

2014/10/31 (Fri) 00:04 | ちょび | 編集 | 返信

Re: カッコイイです!

> genki様
いつも本当にありがとうございます。しっとり柔らかいなんて言っていただけて照れてしまいます。
カッコいいですか?なんだかエロ親父見たいかな…と思ったりもするのですが(笑)
続編…ですか?いやきっと駄文になるので…

2014/10/31 (Fri) 00:00 | ちょび | 編集 | 返信

Re: 色っぽいー!

>まじーん様
雨の帳と心の帳、素敵表現有難うございます!
エロ敦賀氏を色っぽいなんて言っていただけてよかったー。
そして、動揺のあまりNG出しまくる敦賀氏、可愛いかもー♪
集中しようとすればするほど、さっきの柔肌思い出すって感じですね(笑)

2014/10/30 (Thu) 23:49 | ちょび | 編集 | 返信

ありがとうございます〜!!

私の駄文がなんて素敵なお話に!
さりげなく連れ去りなところと、、沸騰する・・・あたりに悶絶してしまいましたよ!

帳(とばり)や、やはり夜の帝王に差し上げますですね〜

2014/10/30 (Thu) 15:16 | moka | 編集 | 返信

カッコイイです!

こんばんは。重ね重ねお邪魔いたしております。こういう展開だと強引な蓮様にお会いする頻度が高いと思うのですが、ちょび様のお話はそこにしっとりした柔らかさが入りますね。雨降りの日は確かに肌寒げなのに、慈愛の雨を感じます。桃じゃなくていいので静かな雨音の響く、マンションで二人で静かな幸せを噛みしめ合う続編が読みたいです〜〜。←完全に図々しくおねだりしています。ごめんなさい。どうもありがとうございました。

2014/10/29 (Wed) 23:28 | genki | 編集 | 返信

色っぽいー!

雨の帳と心の帳。

二人を隔てていたものがなくなったら、恐る恐るどころか瞬時に距離がゼロになりましたねー!
夜の話し合いでその密着度がまた上がりそうですが。

蓮さん、仕事を巻いて巻いて終わるつもりが、動揺のあまり、NG出しまくりだったりしてー! ←キョコさんといるときは格好つけてた

素敵コラボな続きでしたー!御馳走様でした!

2014/10/29 (Wed) 15:49 | まじーん | 編集 | 返信

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