2014_03
10
(Mon)00:21

1歩いっぽ(9)

3月ですね。

蓮誕にお話初めてもうすぐ1カ月がたちます。
1カ月といっても2月は短かったですけど…三日坊主の私が続けれたってことに驚きます。

2014/3初稿、2014/10/2一部修正

■1歩いっぽ(9) ~手に入れるもの失うもの~



「はい、オッケーで~す。次、ガックリシーン準備出来次第いきまーす」


その声で、蓮に抱きついていた女芸人は名残惜しそうにその身を離した

「すいませんでした~。でも敦賀さんえぇ匂いするから離れがたいわぁ~」
「ええなあ~私がその役やりたかったわ」
「やめてや、敦賀さんが汚れるわ」

蓮を囲んでいた他の女芸人達が口々に話しはじめて現場は一気に賑やかになる


蓮が出演する缶コーヒーのCM

今回は仕事の付き合いで参加したコンパで迫られ、それを意中の女性に誤解されるストーリー
コンパのメンバーが今売れている女芸人達で、その迫力ある迫りっぷりに蓮のスーツやシャツはヨレヨレだ

続いて、落ち込んでいる所をコーヒーを差し出した貴島に慰められる“ガックリシーン”も一発OKをももらい、モニターチェックを終えると、女芸人達が再び蓮を囲んだ

「お疲れさまでした!今からみんなで飲みに行こってゆうてるんですけど、敦賀さんもどうですかぁ?」

蓮が返事するより早く後ろから声がかかる

「ごめんね~。今日は敦賀君、俺と男の友情深める約束でさ」
「貴島さんと敦賀さんが二人でですか?眼福~。それみるだけでご飯3杯いけそうです!」

なんだか妙な盛り上がり方を始めた一団に挨拶をすませると、蓮と貴島はスタジオを後にした


***************


「悪いね。無理やり誘っちゃって」


照明を落とし落ち着いた雰囲気のバーレストラン
ここは女の子とじゃなくて、一人で飲みながらちょっとつまみたい時に来るんだよね。と貴島は案内してくれた。

「いや、仕事はあれで終わりだったし、あの誘いは断るつもりだったからありがたかったよ」

彼女たちの世界の話も興味深いけどね。と蓮が言うと、

「いやいや、あの迫りっぷりを見ると行かなくて正解だったと思うよ」

と、貴島は手を振った。
そうかもね。とモルトを少し口に含む。

「それに、貴島君から誘いがくるんじゃないかとは思ってた」
「あ、何を聞き出したいかわかっちゃった?」

肩をすくめて貴島が笑う。

「あの時はびっくりして俺固まっちゃったからね。その後は会っても挨拶程度しかできなかったし」

蓮と貴島の共演は前回のCM以来だ。
BJとの2重生活で敦賀蓮としての活動時間はどうしても減っていたし、CMも貴島との絡みはなかった。

「で、どっちなわけ?」
「どっち?」

貴島は周りを少しうかがってから声を落とした。

「あの子とのこと。本気?それとも先輩としての牽制?」

周りに聞くものがいなくても、声を落としても、名前は出さない。
こういう所が、軽そうに見えてもある意味筋が通った男なんだなと蓮は思った。

「あの時は、先輩として牽制してるんだと自分に言い聞かせていたけどね」
「あの時?じゃあ今は?」

カラン

グラスの中の氷が揺れる。

「本気だよ」

本気だから…

「なりふり構わないことにしたんだ」
「なりふり構わない?敦賀君が?」
「うん。ようやく覚悟をきめたところ」
「覚悟って大げさだなあ。確かにちょっと若いかもしれないけど、敦賀君の事務所も恋愛とかと反対しないんでしょ?」
「うーん。まあ、色々あるけど、必死にならないと捕まえられないかな」

強敵だからね。


蓮は楽しそうに笑うとグラスを空けた。


(10に続く)
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