2014_03
10
(Mon)00:20

X-DAY(前編)

初めて日本語以外のタイトル使いました。

冒頭、マスコミとかの流れをいつもとは違う形でやってみたかったんですけど…イマイチですねえ。
アメリカとかの新聞社ほとんど知らないので、なるべく聞いたことない名前にしたつもりなんですけど「それあるよ」と気づいた方は変更しますので教えてください。


2014/2初稿、2014/11/7一部修正




その日はやってきた



■X-DAY(前編)



ビジネス街を歩くスーツの男。
黒髪、黒い瞳

自室らしき鏡の前でネクタイを緩め、スーツを脱いでいく
そして、カジュアルテイストの入ったシャツを羽織った。と同時に画面は鏡を映す

映るのは、金髪、グリーンアイ…


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- アルマンディ新作CM話題沸騰。アカデミー俳優レン・ツルガ瓜二つの白人男性の正体は? -  (ロスタイムズ)

- 現在最有力はCG説 - (マンハッタンポスト)

- お問い合わせの件につきましては、3日後のショーにて公表いたします - (アルマンディ本社広報部)

- 衝撃告白!敦賀蓮、クー・ヒズリの実子だった! - (スポーツキンキ号外)

- アルマンディのショーにて敦賀蓮は話題のCM通りの姿を披露。自身の出自についても公表した - (毎朝新聞電子版)

- 彼に似合う色が増えて、僕のイマジネーションが広がったね。彼の親?それが僕のデザインをまとうのに関係ある? - (ア-ル・マンディ氏談)

- 敦賀蓮、緊急帰国。殺到が予想される報道陣とファンに成田はすでに厳戒態勢 - (夕刊クジ)



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海外メディアを含めた報道陣とファンでごった返す中、蓮は優雅に、でも立ち止まることなく歩いている。

「敦賀さん、おかえりなさい!今日は黒髪ですが、そのサングラスの下の目は何色ですか?」
「ご両親と一緒にされる会見はロスでということですが、その前に日本にこられた訳は?」

社は報道陣のマイクから蓮をかばうようにたち、記者たちに告げた。

「今回の帰国はこちらでの関係各所へのご報告などが目的です。明日には日本のファンの皆様へ向けての会見を開きますので、それまでのコメントは差し控えさえていただきます」

サングラスはとらないままだったが、蓮はファンに振り向くと笑顔で手を振り、リムジンに乗り込んだ。



「おかえりなさい。敦賀さん。なんだかすっかりハリウッドスターですね」

車内で待っていたキョーコに蓮はサングラスを取ると苦笑した。
その眼は本来のままだ。

「なんだか大げさだよね」
「何が大げさなもんか。もうパニック状態だったぞ。俺なんかあちこち引っ張られたよ。」
「でも、せっかく来てくれたファンの方には握手は無理でも一言くらい言いたかったんですけど…」
「ばぁか、発表あってすぐだぞ?みんな興奮状態の時にそんなこと半端にしてみろ?将棋倒しにでもなったらどうするんだよ。SPが事前に説明してくれてるから大丈夫だ」

仕方ないですね。と蓮は肩をすくめると、キョーコに向き合う。

「改めて、ただいま。君にも色々迷惑かけたね」

額に軽く口づけると、キョーコは赤くなってアワアワしながら「いえいえ、迷惑なんて」とゴニョゴニョつぶやいた。

「キョーコちゃん、嘘はよくないなあ。失礼な記者に『婚約は玉の輿ねらいですか?』とか言われたりしたでしょ?」
「社さん!どうしてそれを!」
「ネットでいくらでも流れてるよ」
「…どこの出版社ですか?」

蓮の温度の低い声が車内に響きキョーコは慌てる。だが社はカラカラと笑って、スクープ先行ガセネタ満載で有名な雑誌名をあげた。

「心配するなよ。その時のキョーコちゃんのすっごい怪訝な顔が妙に受けるってネットで話題になって、『その記者馬鹿じゃない?』って叩かれてるから」

蓮との交際もしばらくたつのに今更玉の輿ねらいとか言われてもなあと社はつづけ、蓮は「すっごい怪訝な顔」を見ようと検索をかけたところでキョーコに携帯を取り上げられた。

~♪~♪

社の携帯がメールの着信を告げる。

「お、新開監督からだ。ちょっと早いけど蓮とキョーコちゃん以外そろったから、先にはじめとくってさ」

その声に慌てて蓮が時計を確認する。

「蓮、大丈夫。時間には必ず店に着けるから。無遅刻キングの異名は守れる。…なんだ?緊張してるのか?」
「あ、いや…やっぱり公表する前に監督たちには言っておきたかったと思うと、ちょっと。」
「仕方ないよ。アルマンディとの契約もあるし、向こうでの映画の録りもショーの準備もあって帰国もできなかったんだから。監督たちもその辺は理解してくれるさ」


新開、緒方、近衛、黒崎

この4人の監督にはキョーコ共々世話になり、思い入れがある作品を作ってきた。だからこそ蓮は自分の素性を直接説明したかったのだ。できるなら世間に知られる前に。

蓮は身体の前で組んだ手に力を込めた。

4人には映画、ドラマ、CMと舞台は違えど何度も仕事をして互いに信頼し、尊重してきた。
それなりの評価ももらえたと思っている。

もし、彼らが自分の出自を知って自分への見方を変えてしまったら…


弱気になるな。
今までの自分を信じろ。


目をつむり、自分に言い聞かせる。

アール・マンディは「その色もいいね。」とまるで服を着替えたときのような感想だった。
そして「僕は“君”と契約している。その君にクオンという名があるのなら、その名前とも契約するだけのことさ」と、こともなげに言ってくれたのだ。
でも、アールがそうだからと言って、新開達は同じとは限らない。
自分を評価し使ってくれてきたこの4人が、もし・・・

手に、そっと優しい熱が加わった。

目を開けるとキョーコの手が蓮の手を包んでいる。
こちらを見る目には力強い光。

「大丈夫です。」

そう告げるキョーコに蓮は微笑む。

そう。
いつだってこの手が蓮を引っ張り上げてくれた。
キョーコがいなければ、こんな日を迎えることも出来なかったのかもしれない。

(大丈夫。俺には最強のお守りがついている。)

手を絡ませ、強く握った。




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約束の店は品のいい小料理屋だった。
社曰く“鳥料理が絶品”らしい

座敷にはまだ飲み始めて対して時間もたってないのに、すっかり出来上がった4人。

蓮とキョーコが並んで挨拶すると、酔っ払いたちは口々に話し始めてなかなか本題に入れない。
どうしたものかと思いながら相槌を打っていると、緒方がささ身をつつきながらつぶやいた。

「今回のこと…敦賀君。お得ですよね。」

蓮の肩がピクリと揺れた。




(後編に続く)
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コメント

4. Re:素敵&怪訝

>ちゅけさん
酔いしれるなんて…なんか照れます(^▽^;)敦賀さんにとってはどんな顔のキョーコも知りたいはずですよね。

2014/03/12 (Wed) 23:43 | ちょび | 編集 | 返信

3. 素敵&怪訝

冒頭の艶やかなCMに酔いしれて、ため息が出ちゃいます。それと対照的な、キョーコちゃんの世間に晒された怪訝なお顔とは!思い浮かべたら嬉しくなりました。可愛すぎですね。

2014/03/12 (Wed) 21:01 | ちゅけ | 編集 | 返信

2. Re:お、緒方監督??

>mokaさん
有難うございます。
かっこいいなんて言われると嬉しくなっちゃいます。
緒方さんはすっかりお酔いになった模様で…

2014/03/08 (Sat) 00:45 | ちょび | 編集 | 返信

1. お、緒方監督??

出だしの見出し文章が、なんかとてもかっこ良いです!!

そして、蓮さんの気持ちと
びっくりな緒方監督の発言。

後編ドキドキして待ちます!!

2014/03/07 (Fri) 14:40 | moka | 編集 | 返信

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