2015_02
09
(Mon)14:30

責任の行方-前編(1歩いっぽ44.5)

いつもと違う時間にこんにちは。ちょびです。予約投稿の設定忘れていました。

敦賀蓮様生誕記念日及びブログ開設1周年を祝って…のはずが中途半端な長さのため2話に分けました。


1歩いっぽのその後のお話です。


2015/2/9



■責任の行方-前編(1歩いっぽ44.5)




これから雑誌の取材があるというキョーコとの別れを惜しんだ後、蓮は俳優部に向かった。
短いながらも逢瀬の時間を与えてくれた敏腕マネージャーを探すためである。
目的の部屋にたどり着く前に通路で部長の松島と立ち話をしている社を発見したが、聞こえてきた言葉に近づこうとしていた足は止まった。

「お前、蓮にあれ言ったのか?」
「あ…いや…」
「やっぱりな。書類出さないからそうだろうと思ったよ。言いにくい事かもしれないがこれもルールだぞ」
「すいません」

柱の陰で蓮は眉を寄せる。
言いにくいこととはなんだろう。蓮がやるはずだった役が誰かに獲られたとか…?降ろされたとか?だが、この世界のルールは蓮だって重々承知している。ちゃんと受け止めて、さらに精進するくらいの器は持っているつもりだ。

(まさか…とは思うけど)

映画のクランクアップ後に始まったキョーコとの付き合いに反対する意見が出ているとか?
ローリィは勿論、松島や椹だって祝福してくれたはずだし、もし反対されてもそれだけは譲る気はない。

「蓮との付き合いも長いので…かえって言いにくくなってしまって」
「まあ分かるけどな」
「なんですか?言いにくい事って?」

背中にかけた声に社が面白いほど身体をびくつかせて反応した。松島の方は「なんだ丁度いいタイミングじゃないか、そこの会議室使って話せばいい」とヒラヒラ手を振って俳優部に向かっていく。

会議室に入ると、社は部屋の鍵を施錠した。
事務所内でそこまで気を遣うことに違和感を覚えて、少し不安が募る。

「社さん、どうしたんです?仕事降ろされたとかそういうことなら、俺ちゃんと受け止められますよ?」
「え?違うよ。そういうのじゃないんだ」

まあ、座ってくれと言われて、腰を下ろすと社は鞄から茶封筒を取り出した。マチがあるA4サイズのそれが少しヨレているところを見ると結構長い間持ち歩いていたのだろう。
益々何の話か分からずに、中身を取り出す社の手をじっと見つめる。
出てきたのは綴じられたA4サイズの書類数枚と、これまた茶封筒に入った長方形の箱
箱のパッケージが姿を現したとき、蓮は固まった。

それが何か蓮はよーく知っている。
アメリカ時代散々お世話になったのだから。
甘い香りのする女の子たちからベットに誘われるたびにエチケットとして使っていたそれ。

「今更…なんだけどさ。会社の決まりなんだよ。25歳未満の所属俳優やタレントから交際報告があったときは避妊についての説明書とコン ドームを渡す。特に一方が10代の場合はマネージャーからもよく説明して、受け取りのサインをもらうって。」
「…そうですか」

蓮は渡されたボールペンを使って受取書にノロノロとサインをした。

「説明は…「いりません」」
「だよなあ~。いやさ、蓮の事もキョーコちゃんの事もよく知ってる分、なんだかこっちが気恥ずかしくなっちゃってさ。あれだけ散々つついといてごめんな」
「いえ…別に」
「クランプアップからもう暫く立っちゃってるのに、とっくにだよな。ほんと今更でごめん」

蓮の肩がビクンッと揺れる。
その様子に笑っていた社が固まった。

「え…まさか…まだ?」

逸らされた目が何より雄弁に物語る

「え?なんで?忙しかったけど映画の宣伝で結構スケジュール重なってたよな?京都で泊りのことだってあったし。まさか待ちすぎて枯れちゃ「枯れてません」」
「結婚式までダメとかキョーコちゃんに拒否「されてません」」

暫しの沈黙

「じゃなんで?」
「…」

2人の事だからと突っぱねることも出来るが、なにぶん社には散々世話になっているし、これからも協力してもらわなければならない。
蓮は渋々といった体で話し始めた。

「せめて時間位はって思ったんです」
「せめて?」
「俺が恋人としてあげられるものって少ないじゃないですか」

その言葉に社はますます首をかしげる。自分がマネージメントしていて言うのもなんだが、日本の若手を代表する俳優だ。もうアジア圏では結構な知名度だし、モデルとしては欧米でも名が売れてきている。あの巨大なバックボーン抜きにしたって世界に打って出れる存在だと思う。
当然ギャラやステイタスは相当なものであるわけで…

「どちらかというとあげれない物の方が少ないんじゃないか?」
「金銭面では恵まれている方だと思いますけど…彼女が求めているものってそういうのじゃありませんよね」

一緒に過ごす時間や出かけられる場所。普通の恋人同士だったら当たり前のことを叶えてあげることが難しい。
変装をすれば可能な事もあるが、それには入念な時間の調整と準備が不可欠だ。
帰り道にちょっとなんてことは気軽にできない。

「…でも俳優敦賀蓮と付き合うことでしか得られないことも沢山あるぞ。キョーコちゃんはそれとをちゃんと分かっている子だと思うけど?」
「それは勿論。でも…彼女にとっては俺が初めて付き合う相手じゃないですか」

ラブミー部のキョーコにだって、恋人が出来たらという夢を抱いていたことだってあるはずだ。

「せめて初めての夜位って…。色々考えたんですけど…夜景の綺麗なホテルのスィートとか…。でも出入りとか彼女気を遣いそうだなって」
「まあ確かになあ。20歳までは公表しないけどばれたらばれたでかまわないって方針とはいえ、ホテルの出入りをすっぱ抜かれるとかキョーコちゃんには抵抗あるよな。『バラバラで行きましょう』とか言いそう。」
「やっぱり…そう思いますか?」
「っていうか確実にそう言うね。そしてお前はそれじゃ嫌なんだろ?」

蓮は頷いた。

「そうなるとお前の部屋になる。夜景も綺麗だし申し分ないと思うけど、特別感がないような気がするわけか」
「だからせめて俺が少し待つことで時間位あげたいなと思いまして…」
「そうだよなー。女の子って色々あるもんな」

心の準備は勿論、身体のケアや着ていく服、下着、化粧品。男はそこまで気にしないよと言っても初めて異性に素肌を晒すのだ。きっと気にかかることは多いに違いない。

「それに俺も翌朝慌ただしく彼女を置いて仕事に行く…なんてことは嫌でしたし」
「そうだよなあ。最初の時位はなあ。お前のスケジュールじゃなかなか難しいと思うけど…」

そう言いながら社はハタと気付く。

(ある…)

もうすぐ始まる映画公開前の嵐のような宣伝行脚、そして全国を飛び回っての劇場での舞台挨拶。それが終わってすぐの2人そろっての1日オフ。
Xデーは間違いなくその前の晩だ。

「あー…。ごめん。オフ明けのお前とキョーコちゃんの顔まともに見れないかも」
「…だから言いたくなかったんですよ」
「だな…。明確にこの日って分かると、なんだか異常に照れ臭い」
「じゃあ忘れてください」

ムスッとしながら書類と茶封筒にしまわれたソレを片付ける蓮を、社は微笑みながら見つめた。

「なんですか、その顔」
「だって嬉しいんだよ。お前はキョーコちゃん大切にしてるんだなって思って」
「大切ですよ。彼女なんですから大切にするに決まってるでしょう」
「じゃあ、お前今までの彼女、そこまで待ったりしたのかよ?」
「…アメリカで付き合ってた子たちは初めての子とかいませんでしたし…」
「でも、お前と過ごす最初の夜は必ずあるだろ?」

蓮はやや薄れがちなあちらでの付き合いを思い出す。
あの頃、自分では大事にしていると思っていた彼女達。最初の夜がどうとか考えたことは無く、一連の流れとしてとらえていた。彼女たちが求めたものを何も考えずに与えていた日々

「2年も待たされた挙句、キョーコちゃんが準備できる期間を空けてさ、お前もその翌日は2人で余韻を楽しみたいって思う。彼女にあげられるものはなんだろうって必死に考える。そういう特別大事な子なんだって…これからも忘れるなよ。それを覚えているといないじゃ全然違うと思うぞ」

今日までずっと見守って、時には手を貸してくれたマネージャーの言葉

「ありがとうございます」
「うん。大事にしないと、よそにとられちゃってその男と“初めての夜”過ごしちゃうことになるからなー」
「なっ!。そんな夜絶対きませんからっ」
「そうか、そうか。そうなるとキョーコちゃんにとっては一生に一度の“最初の夜”なわけだ。そりゃいい夜にしなきゃなー。あ、責任取る気満々みたいからソレはいらなかったか?」
「社さん…」

その後も散々からかわれたが、敏腕マネージャーは祝福してくれているらしい。いつの間にか前日の仕事が1つ調整されて上がり時間が早まっていた。


(後編に続く)





そういや1カ月記念も初めての夜話でしたね…
後編は明日の予定…あくまで予定
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Re: ほほう・・・

> まみこ様
子供の頃から特殊な世界で生きてるから、敦賀さん意外に大事なこと知らないかもしれませんよ。
プリントかじりついて読んだ後真剣に社さんに相談しているかもしれません。

色んな大事にするやり方があると思うのですが、こちらの敦賀さんは我慢強く大事にしています(笑)

2015/02/10 (Tue) 00:22 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

Re: 蓮さんには今更な説明

> 魔人様
いえ、意外に「え?そうだったのか?」と説明書読んでびっくりしていたりするかもしれません。
だって老けてるから誰も教えてくれないと思う(笑)
1歩いっぽは最後怒涛の更新したので…どうかお暇ーな時に読んでやってください
有難うございました。

2015/02/10 (Tue) 00:18 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

ほほう・・・

ユキヒトくんとレンくんの性教育も見たかったような・・・

良い話なのに変態コメントでスミマセン。

キョコさんがすごく大事にされてて私も嬉しくなりました。
蓮様だけでなくみんながキョコさんのことを大事に思っていて、みんなが二人を見守っているんですよね!
続き楽しみに待っています!

2015/02/09 (Mon) 20:56 | まみこ #- | URL | 編集 | 返信

蓮さんには今更な説明

しかし、ヤッシーとしては、今後のフォローのためにも、ふたりの状態を把握できてよかったかもですね。Ψ( ̄∇ ̄)Ψ 1歩いっぽをどこまで読んだかわからなくなり、現在保留中ですが、そのうち読破しに伺いまーーす。それまでは短編から攻めて満たされたいと思います!(←表現おかしい) こちらの続きも楽しみにしてます。

2015/02/09 (Mon) 15:25 | 魔人 #NkOZRVVI | URL | 編集 | 返信

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