2015_03
17
(Tue)11:55

腹黒騎士1

突如浮かんだ歪んだ妄想に軽いテイスト?突っ込んでみました。


※!注意!※
1.冴菜さん出てきます
2.本誌設定ですが色々捏造です。←歪んでます。

それでもいいよーと仰る方は追記よりどうぞ


2015/3/17





■腹黒騎士(はらぐろないと)-1




「見たよ。今日の制作発表。楽しそうなドラマだね」
「あ、見てくださったんですか?有難うございます。」
「大原さんが天然教師の役なの?」
「そうなんですよ!もうボッケボケの新米教師なんですけど、そこがもう本当に守ってあげたいって思うくらい可愛いんです」
「生徒役の最上さんがそう思うならドラマ成功間違いなしかな?」

クスクスと2人の笑い声が2人きりのマンションに響く
この春から始まる『先生は私が育ててあげます!』の話題はしばらく続いた。
ダークムーンで共演した大原愛理が主演のこのドラマは、新米教師のあまりの危なっかしさに業を煮やした生徒達の助けを借りて、仕事に恋に奮闘する姿を描いた学園物だ。
クラスを仕切る女子生徒役を演じるキョーコが準主役といっていいその役に張り切っているのが分かる。

「女子校が舞台ですから同性代の女優さんがすごく多くて楽しいんです。仕事の後も皆でお茶やご飯行ったり、おススメコスメ教え合いっこしたり…」

えへへ、と嬉しそうに頬を染めるキョーコをダイニングテーブルの向かいから蓮は目を細めて見つめた。

「私も18になりましたし、女子高生演じるのもあと僅かかもしれませんから思いっきり楽しみます」
「んーまあ20歳くらいまでなら女子高生役はくるんじゃないかな?最上さんメイクで雰囲気ガラリと変わる年齢不祥な女優だし」
「18ですから!公表してますから!」

グアム以降、キョーコとの関係を進めようと色々努力をしてきたが中々進展しない。
キョーコも随分と忙しくなったが、それでも社の協力もあって互いに空いた時間は一緒にいれるよう努力しているし、キョーコもそれを厭う様子はない。むしろ歓迎されているように感じる。
だが、蓮の周りの空気が男のモノに変わった途端、なんというか…キョーコは何も受信してくれなくなる。
まだ過去の傷を引き摺っているのだろうかと思うのだが、それでも時々蓮を見つめる瞳や上気した頬に否が応でも期待させられるのだ。
今だって、洗い終わった皿を受け渡しする手と手が触れ合った途端キョーコは真っ赤になった。
慌てた様子で流しに向かい、少し俯いて手についた泡を洗い流すその耳まで赤い。美味しそうなそれにかぶりつきたい衝動を抑えて蓮は言った。

「コーヒーいれるよ。リビングで待ってて」

そそくさと逃げていく背中に分からぬようにため息をつく。
無駄に経験は豊富とはいえ、初めて好きになった女の子を前にすると蓮だって22歳のただの男だ。期待させられるような仕草を見るたびに理性はグラグラと揺れる。
社にははっきりと告白をしろだの、キス位したほうが気持ちは伝わるんじゃないかと尻を叩かれるが、本気の恋過ぎて想いを否定されたり距離を置かれたりしたときの喪失感を思うとなかなか踏み切れない。
だけどこの中途半端な距離感では我慢できない自分がいるのは確かなのだ。
また一つため息をつきながら淹れたコーヒーをトレイに移していると、何やらキョーコが叫ぶ声がした

「最上さん、どうした?」

キッチンから結構大きな声で呼びかけながらリビングに向かって失態に気付く。キョーコは電話中だった。

「敦賀さん…」

電話は終わったのだろうか、小さな声で自分の名を呼ぶ瞳が揺れているのに気付いて足を早める。キョーコは携帯を閉じると脱力したようにソファーに座りこんだ。
トレイをテーブルに置いて、キョーコの横に腰を下ろし肩を抱いて空いている手でキョーコの手を包み、俯いている顔を覗き込んだ。

「電話誰から?」
「母から…制作発表見たらしくて…今すぐ降りろって…」

思わず眉を寄せた蓮に気付いたキョーコは慌てて否定の言葉を口にした。

「勿論断りました!京子に…最上キョーコにきたオファーですから!最上キョーコを作るんですから!」

ギュッと結ばれた唇、さらに強く握られた拳が小さく震えている。
普段はあまり気にしていない態度をとってはいるが、電話がかかってきたことで活躍を喜んでくれたり励ましてくれるのではと淡い期待を抱いたのかもしれない。

「うん。俺も最上さんの演技楽しみにしてる。テレビの前の人も、最上さんの周りの人もきっと沢山の人がそう思っているよ」

重なった手から少しでもキョーコに力が伝わればいいと願いながら蓮は熱を込めた。
その言葉にキョーコの眼が一層潤むのをみて、肩を抱き寄せ己の胸にキョーコを抱きとめると、一瞬だけ身を強張らせたがすぐに力を抜いてくれる。

「黙認してくれてると思ってたんですけど…目障りになったんですかね…」
「まだ分からないよ。最上さんが今までしてきた仕事と周りを信じて?」
「…はい」
「今までの評価があるから、今回のオファーがあるんだよ?」
「…はい」

キョーコの涙が止まるまで蓮は優しい抱擁と囁きを続ける。
この場に居合わせた偶然に感謝しながら、偶然や変な言い訳に頼らずともキョーコの傍で支えることが出来る立場を強く願いながら。

*
*

「そうか…昨夜そんなことがあったのかあ」

車内で2人きりになった途端、昨夜のことをウキウキと聞いてきた社は重いため息をついた。

「いきなり降りろなんて弁護士の言うこととは思えません」
「だよなー。制作発表の会見までして降りるって、権利関係大変だって分かるはずなのにな。でもどうして今更言って来るんだろうな」
「…」
「それこそきゅららのCMでのデビューからもう2年近くだぞ?そりゃ今回は準主役だけどさ、ドラマとしての注目度で言えばダークムーンの方が断然上だ」

確かに、と蓮も思う。事務所からも連絡が行っているからこそキョーコの携帯番号も知っているのだろうし、どうしてこのタイミングなのだろう。

「たまたま目にした…とか」
「まあそうかもしれないけどな。」

そうこうしているうちに局に着いた。
通路を行くと、向かいからキョーコが数人と連れだって来るのが見えた。

「敦賀さん、おはようございます。今からですか?」
「おはよう。うん、トーク番組の収録。最上さんは終わったの?」
「はい。番宣で出るバラエティの収録だったんです」

キョーコの横で「敦賀さんだ。こんなに近くで初めてみた」「背、高いね~」と女の子達が囁き合う、紹介して欲しげに視線をよこすので、キョーコが少しだけ眉を下げた。蓮の迷惑になるのではと遠慮しているのだろう。

「みんな大原さんのドラマに出てるの?」
「そうです!京子ちゃんと同じ生徒役です。アベックスの新庄さかえです!」
「アンミューズの東根有沙です。よろしくお願いします」
「初めまして、アカトキの葉山篤海です。よろしくお願いいたします」
「浅野企画の寒河江ミナミです。初めまして」

少し派手な子、キョーコに似た清楚系な子、奏江のようなクールビューティ、みなさまざまに可愛らしい子たちが蓮に挨拶した。なんでも4人は皆関西の出で、京都出身のキョーコと合わて5人が生徒役の中でも特に仲がいいらしい。

「初めまして、敦賀です。同じ事務所の京子がお世話になってます」
「京子ちゃんにはお世話になりっぱなしなんですよ」
「そう。そう。お嫁さんに欲しい位です」
「だよねー」
「でも大原さんの言うとおり京子ちゃんって敦賀さんと親しいんですね。羨ましいなあ」
「私も。母子で敦賀さんの大ファンなんですよ」
「私はお姉ちゃんとー」
「同じ事務所のダークムーンファミリーだからね。」
「そうですよね。私ももし共演することがあったらよろしくお願いします!」
「こちらこそ」

私も私も、と口々に挨拶すると皆名残惜しそうに蓮から離れた。
キョーコもぺこりと頭を下げる。

「これからみんなで女子会?」
「新庄さんと東根さんは私と同じ京都出身なんですけど、ここのカフェの抹茶パフェは絶品だって教えてくれたんです。それなら5人で食べに行こうかと言う話になりまして…」
「それは楽しそうだね。行っておいで」

では失礼しますと、もう一度キョーコがお辞儀をして皆と合流しに向かう。
蓮も社とスタジオに向かって歩き出した。

「和気あいあいとして楽しそうだなあ。本当の女子校みたいだ」
「そうですね。最上さんそういうの憧れてましたから」
「通ってる高校は芸能クラスだからちょっと違うもんな」

よかったなーと笑う社に蓮も頷いて返す。
母親の反対を押し切る形で臨む現場が少しでもいい雰囲気であればいい。

だが、そう上手くはいかなかった。



(2に続く)
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