2015_04
27
(Mon)11:55

それは儚いものだけど(前編)

みなさま、こんにちは。ちょびでございます。
あれ?これ前からあるお話じゃない?と思った方、正解です。
実は六華のすながれけんじ様より、このお話が絡む素敵な素敵なお話を頂戴したのです。
さてどんな形でお披露目をと散々考えて…やっぱりセットで読んで欲しいな。と思いまして豪華特典といたしました。(どうしようか考えすぎて1カ月以上たってシーズン終わっちゃいました。けんじさん、ごめんなさい!!!)
けんじさんのお話は、後編のラストにつけたのですが、一応前編も修正して同時に公開しています。

ちなみに…けんじさんの御宅の落書きカテゴリーの「久々に落書き」をご覧になってからの方がより楽しめます♪





恋する愚か者シリーズ(突然命名)

悩みの音 →愚か者の幸せ(前編)(後編)  の時間軸から行くと前になるお話…?

もうすぐシーズン終わると小耳にはさんだものですから…

2014/3/24初稿、2014/10/15一部修正、2015/4/27豪華特典頂戴しました!




そのネーミングに蓮は足を止めた



■それは儚いものだけど(前編)



空港の売店、『瀬戸内の春の味をお届けします』と書かれたのぼりに囲まれてそれはあった
“いかなごくぎ煮”

(くぎ煮?くぎってあの釘だよな?)



蓮がロケで訪れた日本を代表する港町。
と、言ってもそこは人気俳優、スケジュールはみっちり詰まっている。
ドラマの重要シーンであるそのロケは、東京から最終の新幹線で深夜に到着、朝5時から撮影を開始、最終の飛行機で帰る…という強行軍だ。
そのスケジュールに不満がある訳ではない。
逆にそんな自分に合わせてくれているドラマの出演者やスタッフに感謝している。

だが、少し残念に思うこともあった。
それは、付き合い始めたばかりの彼女にお土産を選ぶ時間がないこと。
本当に、本当に些細なことだ。

だが、念願叶いキョーコと付き合いはじめたのはつい最近。
恋人同士となってからは初めてのロケ、何の言い訳もいらず愛しい彼女にお土産を選べる権利を得たのだ。致し方ないと言えるかもしれない。
少しの時間さえあったなら、と蓮は思う。
以前アルマンディのショップイベントできたときは、センスの良い雑貨や小物を売っていそうな店が並んでいた。洋菓子も有名だ。
きっとキョーコが喜ぶものが手に入っただろうに。

東京行きの最終便を残すのみの空港は、近くに国際空港がある為か元々規模が小さく、時間的にも最低限の売店が開いているのみだ。
それでも何か、と思い足を踏み入れたら…『いかなごくぎ煮』に目が留まったのである


「こちらの名物なんですよ。この時期だけの。形がさびた釘みたいでしょう?だからこの名前なんですよ。」

閉店準備に入っていた店員だが、蓮に気付いて頬を染めながら教えてくれる。

(ああ、形ね。釘入れて作るのかと思った…)

「この地域ではご家庭でも作るんです。これは生姜入れてますけど、山椒使ったり、胡麻かけてたり、ご家庭それぞれの味があって…」

(家庭で作る?これ魚の佃煮だろ?)

熱心な店員の話を遮るのもはばかられているうちに搭乗開始のアナウンス。時間切れである。
仕方なく蓮はそれを2つ購入して社のもとに戻った。

*
*

くぎ煮の入った紙袋を見て、蓮はため息をついた。
彼女に、しかも10代の女の子に佃煮のお土産はないだろう。
だが、「お土産がある」という口実でキョーコを呼び出せる誘惑には勝てなかった。
時刻は10時を過ぎている。遠慮深いキョーコはそんな遅くから蓮を拘束することが後ろめたいらしく、普段は中々誘いに乗ってくれないのだ。
蓮はほんのちょっとでも会いたいというのに。

(まあいいか。「だるまやのご夫婦と一緒に食べて」とか言えば…)

蓮は自分を納得させて、キョーコを迎えにいくべく車を走らせた。

*
*

「くぎ煮!」

予想に反してキョーコは土産に目を輝かした。

「嬉しい!懐かしいです!」
「懐かしい?京都でもこれ作るの?」
「いえいえ、京都で作るなんて聞いたことないですけど、女将さんの好物で、ご贔屓の方が作ったのを送ってくださってたんです」

「懐かしいなあ…。これが届くと女将さん具沢山のお味噌汁作ってくれて、熱々のご飯あったらもうそれだけでご馳走になるんです!」と話すキョーコが、ふと何かを思いついた。

「…敦賀さんはこれ召し上がりました?」
「え?俺?食べてないよ」

キョーコには秘密だが、正直あちらでは時間がないからと、有名な栄養補助食品ですましていた。

「じゃあ、一つは敦賀さんと朝ご飯で食べます」

常にはないキョーコからの申し出に蓮は固まった。

「それって…泊まってくれるってこと?」

恐る恐る聞いてみると、

「ご迷惑でなければそうさせてください。敦賀さんが朝の入りが遅い日ありますか?私はですね…」

すでにキョーコはスケジュール帳とにらめっこ。
思いもかけぬ幸運に蓮は顔を綻ばせた。


くぎ煮は美味しかった。
何より、ご飯を一緒に食べる朝がキョーコからの申し出によって迎えられたことが蓮の心を温かくしたのだ。

これに味をしめたこともあって、その後も蓮のお土産は所謂“消え物”が続出した。
料理の好きなキョーコには喜ばれるし、なにぶん顔がそこそこ売れているので、女性の小物なら社に頼まなければならないが、消え物なら“敦賀蓮”でも購入しやすい。
それにお土産の値段が抑えられている分、誕生日には少々値をはるものも受け入れてくれることがわかった。
思わぬ副産物としては、『いつもキョーコちゃんのお相伴にあずからせてもらってるから』とだるまや夫妻から夕飯に招待されたことだ。
少々緊張を強いられはしたが、キョーコとの未来の為にはぜひとも押さえておきたい2人である。
社にあれこれと注意事項を言い含められ、手土産を持たされて…だるまや準ファミリーへの足掛かりとつかんだ。


学習型恋愛ロボット敦賀蓮は、アドバイザー社の助言を時々受けながら、えっちらおっちらと消え物攻撃を継続したのである


(続きます)

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コメント

6. Re:いかなご

>ぴぃがっぴさん
ちりめんじゃこ!それは気になります!
今度お土産屋でさがしてみます~

2014/04/08 (Tue) 10:20 | ちょび | 編集 | 返信

5. いかなご

くぎ煮は美味しいですよね♪

でも実は「いかなごのチリメンじゃこ」も美味しいのですよ~私は季節には取り寄せてます

ふふふ
くぎ煮を購入する蓮さん(笑)

2014/04/07 (Mon) 22:49 | ぴぃがっぴ | 編集 | 返信

4. Re:なるほど!

>seiさん
くぎ煮、私も大人になるまで知りませんでした。関西なのに。
イカナゴ地帯ではその時期になるとスーパーに材料山積みらしいです。そして作ったら送りたくなるらしいですよ~(友人談)

2014/03/24 (Mon) 17:09 | ちょび | 編集 | 返信

3. Re:にまにま(*^~^*)

>碧樹さん
にまにま、ありがとうございます!
でも、消灯タイムでも意外に液晶の明かりで見えてるかもしれませんよ~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

2014/03/24 (Mon) 17:04 | ちょび | 編集 | 返信

2. なるほど!

天然敦賀蓮使いキョーコにうまいこと誘導されていた蓮さんは、学習型恋愛ロボット敦賀蓮に進化したのですね!!

いかなごくぎ煮。関西在住ながら、知って食べたのは友人が兵庫県に嫁いでからです。何度か送ってもらい食べました。
兵庫全域ではなく、海辺に近いエリアだけだけかもしれませんが、シーズン中は町全体がいかなごくぎ煮の匂いになるそうです。

(今調べたら、兵庫県淡路島や播磨地区から神戸市にかけての瀬戸内海東部沿岸部の郷土料理。なお関西でも、阪神地区、播磨地区、淡路地区以外ではイカナゴの釘煮はあまり食されない。だそうです。byWikipedia)

2014/03/24 (Mon) 13:04 | sei | 編集 | 返信

1. にまにま(*^~^*)

いゃ~んっ。
蓮ってば、楽しすぎるっ。
物凄くにまにましちゃいました。
昼休みの消灯タイムでよかったよ。
この顔やばいっしょ。

2014/03/24 (Mon) 12:31 | 碧樹 | 編集 | 返信

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