2015_09
08
(Tue)11:55

恋は制限時間付き(後編)

カウンターが45454 ナー様からのリクエストです。
リク内容はお話の後に説明しますが、いつものことながら随分と捻じ曲げました。

そして警告しておきます。

馬鹿話です!!!
本当に…馬鹿話です!!!!


そうしてようやく後編

2015/9/8





まるで万歩計の様に表示されているのはキョーコの本当の寿命までの残り時間と言うのは分かる。
だが不思議なことにその数字は一向に動かない。

「最上さん…これって…」
「魂が離れていない間の実質生活時間のみで20年を計算してもらうことになったんです!魂抜けた身体は端からみたら寝ているように見えますし、霊体の方は人には見えないようにすることも可能ですから睡眠時間や移動時間を賢く使えば結構稼げると思うんですよね。携帯アプリはそれを自動計算してくれる優れものなんです!」

たとえば一日7時間霊体離脱したら7×365=1年間で2555時間 …(中略)…だいたい6年近く寿命が延びるはずなのだ。

「時間をうまく活用して寿命を増やすってなんだか燃えますよね!」

いやいや、節約生活じゃないんだからと突っ込みたいが、あまりの怒涛の展開にただ黙っているローリィや社にキョーコは時間節約計画について語り始めた。
あまりに熱く語りすぎたため気が付かなかった。

抜け殻キョーコを胸に抱いたままの蓮が「あと26年?そんなの全然足りないじゃないか」と呟いたことを。
ローリィと社の耳にはしっかりとキャッチされ、皆がアイコンタクトを交わしていたことを。



■恋は制限時間付き(後編)




「…その最上君…」
「なんでしょうか?」
「このシステムは…他に注意点はないのか?」
「時々閻魔様の所に持って行って携帯のデータを転送することと…。後はこのことを話していいのは10人と限定されたことですね」

閻魔庁及び死神省としては本当は誰にも知られたくはないが、流石にそれは不可能に近いだろうと人数を指定されたのだという。
それはそうだろうと社が頷く。

「10人か…結構厳しい数字だね」
「そうでしょうか?」
「だって…ほら、ここにいるだけでもう4人だよ?仕事上椹部長の協力はいるから教えないわけにもいかないだろうし、ラブミー部の活動にも関係してくるから琴南さんにだって言いたいよね?」
「…確かに」
「そうなるともう残り4人だよ?何かのアクシデントで思わぬ人に知られる危険性だってあるんだからなるべく最初の人数は絞らないと」
「そうだな…そうなるとだるまやのご夫妻には話さない方がいいかもしれないな」
「ええ!?」

少しでも寿命を延ばすために自室での時間は貴重だ。大将たちに隠すとなると、かなりの緊張を強いられた生活となる。時間的にもロスが多いだろう。

「客商売だと不特定多数の人が出入りするしね。だるまやで下宿を続けるのはあまりいい方法じゃないかもね」
「そんなぁ。じゃあ私どうすればいいんですか!?」

ローリィと社の視線は半泣き顔の霊体キョーコから蓮と抜け殻キョーコに向けられた。

「いい物件あるぞ」
「ありますね…」


*
*

「私が理解できないまま事態が動いて行った気がします…」

3日後深夜…
退院したキョーコはソファーに腰掛けるとポツリとつぶやいた。テーブルに水の入ったグラスを置きながら蓮がクスリと笑う。

「うん。まあ…それは俺もまだまだ実感はないかな?ちゃんとあったまった?」
「はい。お先にいただいちゃってすいません。手術の後初めてのお風呂だったので気持ちよかったです」
「それはよかった。」

そう…ローリィと社が提案したのは、蓮との同居だったのだ。「空き部屋あり、セキュリティ万全、人目無し」とかいう売り文句付きに喰いついてしまったキョーコはパニックになった。社はともかくローリィはキョーコの恋心を知っているくせになんという無責任な。そもそもいくら色気がないとはいえ一応若い女性なのだ。看板俳優と同居させるなんてどうかしてる。

「ほら、敦賀さんも駄目だって言ってくださいよ!」

そう言いながら蓮を見下ろすと、それはもうキラッキラッの笑顔光線が霊体の自分に突き刺さった気がした。

「なんで駄目?全然かまわないよ。むしろ大歓迎」
「うぇ?」
「時間は大切に使うべきだと実感したしね。みんなの応援は素直に受けないと」
「へ?何を…」
「それとも何?俺が不誠実な行いをするとでも?」
「いえ、そんなわけじゃ…」
「確かに不誠実ではねーな…」
「不埒ではありますけどね…」
「え?社さん今なんて?」
「いや、なんでもないよ。ごめんね。キョーコちゃん」
「何で誤ってるんですか?っていうか敦賀さん。そろそろ私の抜け殻離していただけませんか?」
「やだ。勿体ない」
「やだって!」
「あ、だるまやのご夫妻お見えになったみたいだね。ほら、戻って…ちゃんと話合わせてね。女優さん」
「じょ…女優?」

それからは蓮の独壇場だった。
恋人を失う恐怖を味わい、もう2度と離れたくはない。出来るだけ近くにいたいと夫妻に切々と訴えたのだ。
一度は死亡宣告までされたことに驚いた2人は見事にその演技に引き摺りこまれ、おかみさんは最後には「そんなにキョーコちゃんを想ってくれるなんて」と涙ぐんだほどだ。
キョーコが入院しているほんの数日の間にあれよあれよと準備は進められて、退院に付き添ってくれたおかみさんに「たまには帰っておいでよ。幸せにおなり」と送り出されてしまった。

キョーコはグラスを口に運びながら小さくため息をついた。
最後に一目と思った蓮の近くにいれるのは嬉しい。だけどそれは蓮が誰かを選ぶのを見届けるということでもあるわけで…

「最上さん」

鬱々と考えていたせいで、蓮がキョーコのすぐ隣に座り顔を覗き込んでいることに気付いていなかった。

「は、はい!」

手にしたグラスが取り上げれ、テーブルの上に置かれる。空いた手はそのまま蓮の両手に包まれた。

「え?あの…敦賀さんお風呂は…」
「うん。入るけどその前に言っておきたいことがあるんだ」
「な、なんでございましょう?」

(ち、近い。近いから~!!!)

腰が引き美味のキョーコと目線を合わせると、蓮はさらににじり寄った。

「制限時間があるって分かった以上。俺はもう躊躇しないよ」
「え?」
「押して…押して押しまくるから。」
「お…おす?」
「せっかくみんなが舞台を用意してくれたんだ。なるべく濃密な時間にしたいし」

舞台?濃密?いったい何の話だろう?

「最上さん、ちゃんと受け止めてね?」
「えっと…」
「受け止めてくれないの?」

狡い先輩俳優はキョーコの苦手な子犬顔で哀しげに首をかしげて見せた。

「う!?え?…いや…その…」
「ん?」
「…分かりました」
「何?聞こえない」
「承知しました!受け止めます!決して反らしは致しません!!!」
「約束だよ?」

にこり、と先輩俳優は笑うと「さて、俺も風呂に入ろうかな?」と立ち上がった。
あっさりと蓮の手が離れて行ったことに少々さびしさを感じていると、不思議そうに尋ねられる。

「魂抜かないの?」
「あ…そうですね。」

慌てて身と魂に別れると「じゃあ、ゆっくりしてて」と蓮は浴室に向かった。
何やら訳が分からないまま1人取り残されてリビングをふよふよと浮遊する。

「…ゲストルームのベットに寝てからにしたらよかった。」

そうした方が効率的だったと思い付き、今からでも…いやでも家主におやすみなさいと言ってからにしようと、ふよふよを続行する。高い視線からみる部屋はなんだかいつもと違って見える。

「あ、照明、結構埃が溜まってる」

居候させてもらう以上家事は頑張らねば。どうせならこの姿で色々こなせると能率がいいのだが。テレビや映画に出てくる霊体は物を動かせたりしているから練習すれば出来るようになるかもしれない。
そんなことを考えていたら蓮が浴室から戻ってきた。天井近くに漂うキョーコをみてクスクス笑う。

「最上さんからそうやって見下ろされるのもなんだか新鮮だね」
「普通あり得ませんからね」
「確かにそうだ。さて…もう遅いしそろそろ寝ようか?」
「あ、はい。今戻ります」
「いいよ。」

ひょい、と抜け殻キョーコはお姫様抱っこをされた。

「ちょ、重いですからっ」
「全然。…魂抜けててもあったかいんだね」
「人には分からない程度体温下がってるみたいですけどね」
「そうなんだ。よかったよ。あんまり冷たいと俺風邪ひきそうだし」
「敦賀さんが風邪?」

何やら話の流れがつかめない。しかし蓮はスタスタと歩いて行ってしまうので、慌てて後ろをフワフワとついていくと向かっている先がゲストルームではない事に気がついた。

「敦賀さん、申し訳ありませんがゲストルームに」
「ゲストルーム?駄目だよ。勿体ないだろ?」
「勿体無いって…シーツの洗濯とか私ちゃんとしますよ?」
「そうじゃないよ。寝てる間もちゃんと堪能したいだろ?」
「堪能って何をですか?」

広いと言っても同じ家の中だ。寝室にたどり着くと、蓮はベットのブランケットを捲るとにキョーコをそっとおろし、あろうことが自分も一緒にそこに収まった。

「ちょ!ちょ!ちょ!ちょ!」
「ちょ?」
「ちょっと!敦賀さん、何してるんですか!!?」
「何って…寝ようと思ってるんだけど?」
「な、なんで私が一緒に…」
「押すって言ったよね?」
「え…ええ」
「受け止めるって言ったよね?」
「は…はい。言いましたけど…」
「じゃあ、問題ないね。おやすみ」
「はい、おやすみなさい…って!全然分かりませんよ!寝ないでください!ちょ、ちょっと敦賀さん!」

ベットの上で必死に呼びかけると、むくり、と蓮が起き上がりほっとした。さあ今のうちに身体に戻ってゲストルームに行こうと思ったところで、先輩俳優はまたもや思ってもいない行動に出た。

「う?うぎっ!!!敦賀さん!何でパジャマ脱いでるんですか?」
「上だけだよ。どうせならより近くに感じたいだろ?」
「近く?何をですか!?何を?ぎ、ぎゃー!!!!巻き付かないでください!手がっ!手がっ私めの貧相なものに」

キョーコの背後から巻き付いている形のその腕がコンプレックスの塊を覆っている。あまりに薄くて気付かないのかもしれないが、あまりにも心臓に悪い体制に勇気を出して指摘したのに蓮はニッコリ笑った。

「うん。ジャストフィットだね。いい夢見れそうだ」
「ひぃ――――――――――――――――――っ!!!!!!!」


(おしまい)





本当に馬鹿話ですいません。すいません。
ナー様、捻じ曲げまくってすいません。

リクエストは45454ってことで「ウッカリ垣間見た死後の世界」
うっかりでもなければ、垣間見たとか言えないし…
でも浮かんじゃったんですよ。本当にすいません!!!。

でも頭でお話練り上げている間すごい楽しかったです。
もうすっごく膨らんだ閻魔帳システムやら色々あったんですが、ちょっとヤバい人と思われたら駄目なのでカットしました(笑)
20年がいくら伸びようかそんなの全然足りない敦賀さんがどう出るのか?皆様ご想像の通りかと…。
時間と気が向いたら続きを書くかもしれません。

ナー様楽しいリクエスト有難うございました。


このようにリクエスト捻じ曲げまくりですが、ためまくりですが、それでもいいよーってかた
カウンター77777踏んだら、リクエストお待ちしてまーす。


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C.O.M.M.E.N.T

Re: 爆笑〜!

>風月様
楽しんでいただけてよかったです!
何か大事な線がぷっつん切れた敦賀さんはもうベッタベタするでしょう。
そして後から社さん辺りに指摘されて「あれ?告白してない?」ってことに気付くんですよ。きっと^m^
続きいつか書こうかな~と思っていますが、どうしもうもない位に馬鹿話になりそうです。

2015/12/10 (Thu) 00:01 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

爆笑〜!

最高ですね!!かなり続きまで見たくなりました(笑)
幽体離脱してる間に色々しちゃう蓮様!!
蓮様とハッピーエンドになるまで…とか!!
待っててはだめですか??(笑)
シリーズでもいいくらいです。

いやはやちょびさん最高です!!

ありがとうございましたー!!

2015/12/08 (Tue) 12:32 | 風月 #- | URL | 編集 | 返信

Re: 鼻水たれました。。

> やぎ様
すごい最高級の褒め言葉ですよ。お馬鹿話に鼻水垂らすまで笑っていただけるなんて!!!
上半身脱ぎますよ?本当はパンツ一丁になりたいけどそこは我慢強いお人ですから(笑)
なんというか閻魔様の机に貼りついて講義するキョーコちゃんの鬼気迫る表情が浮かんだんですよ。またいい絵面が浮かんだら続編書こうと思います。
12月も闇色も読んで下って有難うございます。連載物が結構真面目に話が進んでいるので少しストレス発散させていただきました。

2015/09/11 (Fri) 02:04 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

Re: 続きが読みたくなるお話ですね!

>愛海様
いつも丁寧な感想有難うございます。そしてまとめて読んでくださったんですね(2週間もお待ちいただいたことに…あわわ…)
死後の世界情報が全くと言ってもいいほどないので、逆に割り切って公務員を創り上げちゃいました。
きっとキョーコちゃんはクレーマーとして危険人物扱いされているのでしょう(笑)
そして敦賀さん、焦りすぎて告白がすっ飛んでいます。そのことにいつ気付くのでしょうねえ。
また機会があったら書きたいと思いますので、その時は読んでやってくださいね。

2015/09/11 (Fri) 01:56 | ちょび #- | URL | 編集 | 返信

鼻水たれました。。

ちょび様
いやーー久々に爆笑です。噴出して鼻水が垂れてしまいました。上半身ぬいじゃうんだー。予想外のイイおちです。個人的には中編の「そこのメガネ!」がすきです。改善案まで示して、転んでもただでは起きぬキョーコちゃん。サイコーです。できれば、ぞくへんも。。。
12月の鬼、闇いろも、楽しませて頂いております。
これからも、どーぞ宜しくお願い申し上げます。

2015/09/09 (Wed) 20:34 | やぎ #- | URL | 編集 | 返信

続きが読みたくなるお話ですね!

タイトルに“前編”と書かれているのを見て、「後編まで出てから読ませてもらおう」と我慢をしていました‼
幽体離脱しちゃうキョーコちゃん、すごく斬新ですね‼
読んでいて楽しかったです♪
閻魔大王たちを詰め寄るなんて、さすが!
閻魔庁が公務員チックに描かれているところも面白かったです。
でも、蓮さまはキョーコちゃんの死亡宣告に絶望のドン底に落ちちゃったでしょうね。制限時間も聞いてしまったことだし、蓮さまに二の足を踏ませるものはもう何もなさそう。
キョーコちゃんをがむしゃらに口説く蓮さまを見てみたいです!
だるまやのご夫妻に泣き落としをする蓮さまの様子も読んでみたかった…!
妄想することにします‼
蓮さま、キョーコちゃんの残りの人生にスッポンの如く食らいついて、決して離さないことでしょうね…。
やってることはキョーコちゃんのストーカーだとしても、蓮さまなら許されちゃう気がします…。

2015/09/09 (Wed) 08:35 | 愛海 #- | URL | 編集 | 返信

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