2016_04
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(Wed)11:54

(旧)1年4カ月後の査定結果(ほんのわずか番外6)

こちら、限定記事で出した時そのままです。
こっちのほうがいい気もしまして暫くあげときます。

さて、ほんのわずかに需要がありそうだったオリキャラ目線その2
題名・内容共にグダグダになりましたが、GW明けのリハビリということで…

敦賀さんの部下である営業部員三沢君目線です。何度か名前は登場しております。

蓮キョが付き合い出す前(本編はキョーコちゃん入社2年目2月~3年目5月までの話です)、キョーコちゃん入社2年目の5月から始まるお話です。

2015/5/8




三沢弘樹、都内某大経済学部卒
身長173㎝、細身
友人の評価 “鈍いのか鋭いのか分からない男”



■1年4カ月後の査定結果(ほんのわずか番外6)



~5月~
三沢が新入社員研修を終えて営業企画部に仮配属となったのは連休明けのことだ。
仮配属なのは、入社1年目の総合職は適性判断と視野を広げる為に大体3か月毎に本社支店問わずあちこちを渡り歩くからである。

「この3か月君を指導する最上君だ。2年目だが優秀だぞ。色々教えてもらいなさい」

部長の椹に紹介されたのはセミロングの黒髪をした若い女性社員だった。
華奢でかわいらしい雰囲気はまだ10代にも見え少々驚いたが、確かに優秀で教え方も丁寧だし人当たりもいい。なかなかいい人にあたったと三沢は思った。それに何より…

「ごめんね。総合職の三沢君の指導係が一般職の私で。企画は総合職の人は少ないから」
「いえ。キョーコさんでラッキーでした。部長や課長が指導係だったら俺5月病になってましたよ」
「三沢君は神経太いから大丈夫よ」

この指導係の先輩はおとなしい顔をして言う時は言うタイプだ。結婚したら旦那を立てているようで内実は尻に敷くのだろうと三沢は密かに思う。

「俺3人姉ちゃんいる末っ子なんで女の人に教えてもらう方が楽なんですよ。キョーコさん仕事出来るし教えるの上手いし本当に勉強になります」
「おだてるの上手だよね。流石営業志望。隣の部署で羨ましくならない?」
「営業は仮配属ありませんからね。でも企画に配属されてよかったです。企画や営業事務の仕事内容がよく分かるから、営業職につけたときに絶対プラスになると思うんですよ」
「本当に前向き。営業向いてると思うよ。配属されたらいいね。」

くすくすと笑うキョーコの姿はあどけない。考えてみればキョーコは短大なので大卒の三沢より1つ年下なのだ。

「キョーコさんみたいな人とならいい仕事できそうですよね。可愛いし。…残念!俺には超かわいい彼女いるんですよ~。すいませんね」
「ちょっと、勝手に振らないでくれない?」

ジト目でにらみつけるキョーコを見てあははと笑っていたら背中に殺気を感じた。
振り返るといつもの営業部の光景だ。

「?、三沢君、どうかした?」
「いえ、なんでも。敦賀主任かっこいいなあと思いまして。」

デスクで書類に目を通しながら電話をする蓮の姿を目にうっとりとする。
そう。何よりもリスペクトする敦賀主任の近くの部署に最初に配属されるなんて本当にラッキーだ。

「入社4年目で史上最年少主任ですよ。まさにエリート!カッコいいじゃないですか」
「まだ主任じゃないよ。6月1日付けだから」
「内示出たから主任でいいんですよ。いいなあ、入社半年で異例の営業部配属だし…もう史上初づくめですよね。俺も2年目くらいには配属されたいなあ」
「普通早くて入社丸1年か1年半で本配属でしょ?。敦賀さんは色々人間離れしてるから基準とするには向いてないと思うけど?」
「人間離れって…キョーコさんって全然敦賀さんにトキメキ感じないんですか?」
「あそこまで何でも揃ってるとブラウン管の向こうの人みたいだから現実味がないのよね」
「ブラウン管って…キョーコさん、本当に平成生まれですか?」

そう言っている傍から背中に冷気を感じる。おかしい風邪でも引いたのだろうかと、三沢は首をかしげた。

(今日は葛根湯飲んで早く寝よう)

社会人になって空調の下に一日中いることで体質が変わったのかもしれない、それからも時折冷気を感じた。企画では失敗もそれなりにあったものの色んな意味で充実した毎日であっという間に3か月が過ぎ、お盆明けに三沢は現場業務を学ぶために本社を出ることになった。

「新しいところでも頑張ってね。営業部に配属された三沢君に会えるの楽しみにしてるから!」
「キョーコさん、お世話になりました。早く彼氏できたらいいですね」
「余計なお世話だから」

そう言いながら三沢を小突くキョーコの笑顔は綺麗と言うより可愛らしくて、仕事をしていると忘れていたがやっぱり1こ下なんだなと三沢は思った。


~11月~
「キョーコさんが不破さんと付き合いだしたぁ?」

三沢がそのニュースを聞いたのは、また転属となって本社を訪れ、法務部にいる同期の赤倉と飲みに行った時だ。

「そんなに驚くことかよ?2人は同期だし、不破さん10月から営業に配属されたから話す機会も多いだろうし、ありえなくはないだろ?」
「えーっ。だってさあ、タイプ全然違うじゃん」

三沢は“彼氏”の顔を思い浮かべた。ショータローは1期上の入社組の中でも目立つ存在だ。イケメンでタッパもあって仕事も結構出来るらしく三沢憧れの営業部に1年半で配属された。しかしチャラチャラした外見通り女遊びも派手で、華やかな美人を引き連れて歩いているのを何度も見かけた。キョーコだって顔も綺麗だしスタイルもいいから磨けばもっと美人になるだろうが、どう考えたってショータローが好むタイプではない。

「それがさ…」

店には同じ会社の人間は見当たらないが赤倉は声を潜めた

「うちの部に礼野さんっているだろ?」
「ああ、キョーコさん達と同期だよな」

礼野は人付き合いも悪く少し暗い雰囲気だが、「影があって素敵。ミステリアス」と女子社員に人気がある。結局、何をしたってイケメンは得をするのだ。

「礼野さんと不破さんって仲悪いだろ?」
「らしいな。まあ…どう考えたって合わないよな。特に不破さんがライバル視してる感じする」
「そうそう。その礼野さんが何かの飲み会に珍しく顔を出した時に、社内で好みの女性は誰かって聞かれて「最上キョーコ」って言ったんだよ。「アイツは磨けば極上の女になる。俺が磨いてやる」とかなんとか」
「それ、男前が言ったんじゃなかったら石投げられるな…。って、まさか不破さんそれで?」
「そうらしいんだよ。どっかからそのこと聞いて先手を打ったって話」

大好物の唐揚が急に不味くなった。

「うわっ、三沢、すっげー顏してるぞ」
「なんか嫌だわ。俺そういうの。キョーコさんには幸せになって欲しいのに」

今まで配属されてみてきた女子社員の中でも1、2を争う位仕事が出来て、頑張り屋さんで、純朴なところがあったキョーコ。きっと男と付き合うのだって初めてだろうに。
あまりキョーコが傷つかないことを三沢が祈った交際は3か月ほどで終わったと聞いたのは2月の中旬だった。


~4月~
三沢は念願の営業部に配属になった。

(雰囲気変わったよな…)

1年での配属を自分のことのように喜んでくれるキョーコを見ながら三沢は思う。
ショータローと別れた後に変えたという茶髪のショートボブもよく似合っているし、なんだか垢抜けた。
だが、外見だけではない。なんというか…

(少し…大人びたというか…陰が出来た?)

22歳の女性なのだから大人びて当然なのだが、なんだか1年前と何かが変わった気がする。
少し、三沢から視線を外した時や目を伏せた時見せる表情がなんというか…

「三沢君、挨拶周りにそろそろ出ようか?」

キョーコの変化に気をとられていた思考を、上司となった蓮の声が呼び戻す。

「あ、すいません。すぐ準備します。じゃあキョーコさん。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「敏腕営業マンの俺に惚れても無駄ですよ」
「惚れないから」

そういうキョーコは前と同じ笑顔で、やはり気のせいだったのかと三沢は安心して席に戻る。

念願の営業部だったが、案の定そう簡単に敏腕営業マンになれるはずもなく悪戦苦闘して毎日が過ぎていく


~7月~
「キョーコさん、5時から大会議室企画が押さえてますよね。」
「うん、明日総合会議あるから」
「これから使わせてもらっていいですか?敦賀主任と書類広げて打合せしたいんですけどどこも一杯なんですよ。今日中には終わりますから」
「机並べ替えた後ならいいよ。今からやるからちょっと待ってもらえるかな?」
「勿論です。あ、手伝いますよ」

蓮に断って大会議室に向かう。机や椅子を移動しながら話をしていると新入社員の頃に戻ったようだ。

「あ、そうだ。キョーコさん。一度聞きたかったんですけど」
「ん?何?」
「彼氏できました?」

見事な位カチンコチンに固まって真っ赤になったその顔が答えのようなものだ。

「ななななななななっなにを?」
「やっぱりいるんですねー。あ、別に詮索したいわけじゃないので。キョーコさんが幸せで何よりです」

ぐ、と暫く固まったままだったキョーコが、真っ赤な顔のままおずおずと聞いてきた。

「な…なんで…分かったの?」
「えーだって4月に俺が営業にきた時と目の輝きが全然違いますもん。なんて言うか…あの頃は『世の中なんてこんなもん』って諦めている感じ?」

ガン!!バサバサバサッ!
派手な音がしたので振り向くと、会議室の入り口で蓮が書類を盛大にぶちまけていた。

「どっどーしたんですか?敦賀主任!」
「…扉に肘がぶつかった」

しゃがんで書類を拾い出した蓮の耳が、珍しい失敗に恥ずかしいのか少し赤い。慌ててキョーコと2人で駆け寄って手伝おうとすると

「いや…自分でするからいいよ。それより三沢君、最上さんにお礼にコーヒーでも買ってきてあげてくれないか?」
「そんな…自分の仕事しただけですよ!」
「遠慮しないで。別の仕事中断しちゃっただろ?三沢君、ついでに俺と君のもお願いできるか?」
「勿論です。ご馳走様です!」

最敬礼して千円札を受け取ると、キョーコのリクエストを聞いて会議室を出た。
コンビニから戻りカフェオレを渡すと、蓮と三沢にお礼を言って受け取るその頬はまだほんのり赤く幸せそうに見えた。


~9月~
「あれ?キョーコさん?」

驚いたのは、それが会社ではなく金曜夜11時の混雑したコンビニだったからだ。
まだ残暑は続いていて、キョーコは半袖のロングワンピース。すこしゆったりとした作りのそれはルームウェアも兼ねているのだろう。

「み、三沢君…って家この辺だったっけ?」
「今日は岩木と赤倉の実家に遊びに来てるんです。罰ゲームで酒を買いに行く係なんですよ。ここはちょっと遠いけど種類揃ってるからって」
「そ、そうなんだ」
「キョーコさんは?」
「わ、私は散歩がてら牛乳買いに…」

挙動不審な様を見ていればぴんと来る。

「ああ、彼氏の家にお泊りですか。金曜ですもんね」
「かかかかかかかか」
「隠さなくてもいいじゃないですか。邪魔はしませんから安心してください。俺も早く酒選ばないとあいつら待ってるし」

思ったよりも種類豊富な焼酎に迷っていると、出口付近からその声は聞こえた。

「キョーコ?レジ終わったよ。」

混雑している店内通路の隙間から覗くと、ガラス扉の向こうに手をつないで夜道を歩いていく長身の男とキョーコの後ろ姿が見えた。


「遅かったじゃないか。待ちくたびれたぞ」
「悪い。悪い。あのコンビニすげえ焼酎の種類あるからさ」
「すごいだろ?元が酒屋だからか結構珍しい酒置いてるんだよ。足伸ばした甲斐あっただろ?」
「まあな。キョーコさんに会ったし」
「キョーコさんって、最上さん?」
「うん、彼氏と一緒だった」
「マジ?どんな人だった?」
「後ろ姿見たけど、すっげえ背が高くて足長かった。敦賀主任級」
「後ろ姿だけかよ?」
「声も聴いた。声…敦賀主任に似てたな」
「背も声も敦賀主任?本人じゃねえの?」

焼酎のロックを口に運びながら同期が笑う

「いや。それはないな」
「なんでだよ?主任独身だし。最近彼女いるって噂聞いたぞ」
「いいか。ずっと敦賀主任を見ている直属の部下の俺だから断言できる!」

ふふん、と三沢は胸を張って答えた。

「敦賀主任は…あんな極甘な声は出さない!」


三沢弘樹、都内某大経済学部卒
営業部所属
上司の評価はやはり… 

“鈍いのか鋭いのか分からない男”

(おしまい)
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