2014_05
07
(Wed)07:00

1歩いっぽ(19)

今日から通常営業の方多いんでしょうね。
日常万歳!


*この回から暫くは蓮の過去にふれます
あくまで、一個人の勝手な妄想です
苦手な方、不快に思われる方はバックプリー--ズ!

2014/5/7初稿 2014/10/7一部修正

「キョーコちゃーん!」

LME本社ビル
馴染みのある声に、エレベーターに乗ろうとしていたキョーコは足を止めた

「社さん、おはようございます」

おはようと駆け寄ってきた社はキョーコの横でエレベーターを待つ

「これから会議ですか?」
「うん、来期からの蓮の仕事の方針についてね」
「凄いですね。一俳優の為に会議って。流石事務所の看板です!」

うーんと曖昧に社は笑った

「これがなければ蓮についていけたんだけどね。海外の仕事は蓮単独行動が多くなっちゃって…いくら英語が堪能と言っても悪くってさ」
「敦賀さんのスケジュール詰まってるから仕方ないですよ。」

社にそう応えながら、キョーコは蓮とのやりとりを思い出す



■1歩いっぽ(19) ~振り向く。そして前を向く~



サニーCMの詳細が決まったのは、二人で大学に出かけた暫く後だった
撮影場所はハワイ諸島のとある島

グアムの美しい海を思い出してキョーコは小さな歓声をあげた

「敦賀さんは行ったことありますか?」

振り返ったキョーコが見たのは、少し顔を強張らせた蓮の姿

「敦賀さん?」

キョーコが声をかけると、いつもの顔で微笑んだけれど


撮影時期は3月中旬
蓮主演のドラマの撮影のクランクアップや、キョーコの進級テストが終わるのを考慮しての日程となっていた。
ただ、サンフランシスコで行われるアルマンディの撮影がサニーのCM撮影の直後に入っているとのことで…

「シスコでの事前打ち合わせをCM撮影の前に持ってくるしかなくてな…それだと来期の会議と被るんだ。蓮一人で行ってもらうことになるが、大丈夫か?」

来期の会議は役員も多数出席するから変更がきかなくて、すまんな…そういう松島に蓮は笑って言った。

「大丈夫ですよ。アルマンディの仕事は慣れてますから」
「ええ!?じゃあ、東京からサンフランシスコ、それからハワイ、CM撮影が終わったらまたサンフランシスコですか?私の進級テストが無かったら、アルマンディの事前打ち合わせと撮影が続けて出来るのに…すいません」

謝るキョーコに「いや、よくあることだから」と蓮は手を振った。

結局、CMの撮影後も新しい映画の打ち合わせに社が出席する必要があるとかで、サンフランシスコは蓮が一人で行くらしい。
松島や椹と別れて、次の仕事への移動のため廊下に出ると、キョーコは改めて蓮の横顔を見上げた。
一瞬とはいえ、先程の蓮の強張った表情が気になったのだ。
蓮が視線に気付いてキョーコに話しかけた

「俺の顔に何かついてる?最上さん」
「いえ、さっき撮影場所聞いた時の敦賀さんがちょっと…」
「ああ、あれね。」

蓮は腰をかがめてキョーコの耳に囁いた

「最上さんに告白してから初めてだからね。南国の島に2人っきりなんて…理性が持つか心配してた」

なっ!とキョーコの顔が真っ赤に染まる。

「CMに出るのは2人ですけど、撮影は2人じゃありませんっ!」
「そういえばそうだね」

クスクスと笑って、もう一度耳に顔を寄せる

「ちょっと緊張したんだ。その理由はまた今度ね」

なんだか意味ありげな囁きに心臓がバクバクいって、それに気を取られてごまかされたが、次に会うのはCM撮影の時だと気付いたのは蓮と別れてからだった。

(理由っていったいなんだろう)

あんな表情、理性云々ではないだろうとキョーコは思う。

エレベーターが到着するまでの間、社の横でキョーコはグルグルと思考のループにハマっていた。



******************************************



アメリカン合衆国ロサンゼルス郊外にある墓地

西海岸と言っても3月の早朝はかなり冷える
シャツ1枚に薄手のパーカーを羽織っただけの蓮は少し身を震わせた

出入国の関係で本来の姿に戻ってた蓮は、キョーコとのCM撮影の前に行きたい場所があった

まだ一度も訪れた事がなかった場所
自分にはその前に立つ資格さえないと思っていた場所

花は用意しなかった。
自分が花を捧げるなんて、なんだか偽善的行為そのものに思えたから。

でも、どうしてもその前に立たなければ前に進めない。
そう思う。

大体の場所は聞いていたが、正確には知らない。
ゆっくり、ゆっくり歩きながら、名前を探す。

だが、名前を見つけ出すまでもなかった。

早朝にも関わらずそこには先客がいたから



(20に続きます)
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