2014_06
06
(Fri)02:00

1歩いっぽ(22)

何か祭りを参加すると1歩いっぽの更新が停まってしまう…
すいません。お馬鹿脳がなかなか切り替わらなくて…

2014/6/6初稿、2014/10/7一部修正

■1歩いっぽ(22) ~明かされる。受け止める~


「資料は目を通しているな?」

メイクが終わった2人に黒崎は問う。

資料は大雑把なものだった。
恋人同士が、街、森、海、夜空の下でお互いをハンディビデオカメラで撮りあう。
テレビで流しても遜色ない画質で撮れるのが売りのカメラなので、その映像がCMのメインらしい。

「監督、恋人といってもどんな感じでいきますか?」

蓮の質問に黒崎はうーんと唸る。

「正直、お前たちの関係の深さ具合に合わせようと思ってたからなあ…まさか、まだ始まってもいないなんてなあ」

小声だがブツブツと漏れる言葉に、キョーコはギョッとした。

(な、なに言ってくれちゃってるんですか!)

だが、蓮も社も全く気にしてないようだ。

「じゃあ、付き合い始めのまだ硬さの残る初々しい感じでいいんじゃないですか?」
「まあ、それが一番自然か」

トントン、とペンで机をつきながら黒崎がつぶやく

「それだと、話し方も普段に近い形でいいから最上さんもやりやすいんじゃないかな?」
「は、はいっ」

もうどうにでもしてくれ、と言った感じがする。

「あ、じゃあ…敦賀さんって呼びかけてもいいんですか?」
「ほかの呼び方がいい?蓮さん?それとも蓮?」
「けけけけっ、結構です!敦賀さんでお願いします!」
「残念」

おい、と黒崎は社をつついた

「いつもこんなの聞かされてるのか?ご苦労だな」
「慣れました。すでにBGMです」

「蓮、“最上さん”呼びはダメだからな」

社の注意に、分かってますよ。と蓮は言った。

「そうだな…じゃあ、京子ちゃん?」

『キョーコちゃん』

金髪の妖精のささやきが甦る
それと付随する記憶がよみがえってキョーコは顔を赤らめて下を向いた。

「なんだよ。名前呼び合うだけでこんなに甘ったるいのか」

街にいたら直視しづれえな。そうつぶやく黒崎に社は苦笑した。

「なんだか監督は因縁とかつけそうですよね」
「人を見かけで判断するな。」


撮影は順調に進んだ。

“まだ固さの残る初々しい恋人同士”

先日の蓮とのデートをベースにすれば簡単だった。
あの日と違うのは、おしゃれを頑張りすぎたっていいし、はしゃぎすぎたっていい。
気になるお店があったら、蓮の袖を引いて
面白い柄のTシャツがあったら、蓮にあててみて笑いあう。
アイスクリームはお互いのフレーバーを味見し合った。

こんな風に

こんな風に歩く未来

またそれがキョーコの頭を掠めていく


茜に染まりだしたころ街での撮影は終わった。
次は軽く夕食をとった後、星空の下での撮りとなる。

気がつけば結構なギャラリーに囲まれていた。いくらマウイ島に比べれば日本人は少ないとはいえ、蓮はモデルとして海外でも認知度は割と高い。

(いかにも欧米人!って人達が敦賀さんをみてキャーキャー言ってる。流石よね)

そう思って隣に立つ蓮を見上げると、蓮もギャラリーに目を向けていた。
いや、ギャラリーと言うより

(その後ろの方を見てる…?)

キョーコの視線に気付いた蓮がこちらを見た

「どうした?」
「いえ…」
「あ、さっきの店のアクセサリーやっぱり欲しくなった?」
「違います!」

くすくすと蓮は笑う。

「買うならプライベートで来た時にしようね」

ああ、もう
この男は誤魔化し方までなんだか狡い


**************


星空の下での撮影も順調に終わり、「一杯だけ」という名の懇親会となった。

順調とはいえCM撮影は時間がかかる。
今朝ハワイについたその足でスケジュールをこなし疲労はたまっている。

(今夜は時差ボケとか気にせずぐっすり寝れそう)

スポンサー企業の担当達との談笑の輪から一時抜け出したキョーコはあくびをかみ殺した。

「最上さん、明日もあるんだからそろそろ休まないと」

絶妙のタイミングで蓮から声がかかる。

「あ、でも」

この業界は人とのつながりも大事なスキルだ。

「自分のコンディション維持が最優先。…そのグラスが空いたら部屋まで送っていくから」

駆け出しのキョーコに配慮してくれたのだろう。ジュースグラス3分の1の猶予をくれて、蓮はカメラマンたちとの会話に戻っていった。


「蓮、明日どこか個室のあるレストラン押さえとこうか?」

キョーコを部屋まで送った後、声を潜めた社が尋ねてきた

明日の撮影は夕方まで
その後は翌日昼の帰国便出発まで自由行動となってる

「そりゃあ、みんなで食事って話も出るだろうけど、そこはなんとでもなる。
お前はこの後サンフランシスコだし、また暫く会えないかもしれない。チャンスは逃すなよ」
「有難うございます」

蓮は少し考えてから答えた。

「でも、店の予約はいいです。何かあるかもしれませんし」
「撮影が延びるとか?明日も天気はいいらしいし、まず大丈夫だと思うぞ」
「そうでしょうけど…念のため」
「お前、仕事に関しては本当に自分に厳しいな。」

そういう訳じゃないですよ。と蓮は苦笑した。


(23に続きます)





行きたいとこまで行けませんでした…
B.P脳はダメですね…。
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